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約束と契約2  作者: オボロ
16/30

#16 使い魔達の大冒険②



「君達!こっち、こっち。」


「?」


クロを探すために、廊下を戻って来た使い魔達に、手招きして呼ぶ男子生徒が居た。


「良かった。日本語、分かるんだね。」


使い魔達が近くまで来ると、男子生徒はホッとしたように微笑み、そして、今度は神妙な面持ちになって、一番近くに居たノラに紙を渡した。


「声には出さず、これ読んで。読める?」

「‼」

「‼」

「‼」


紙をもらったノラと、横から紙を覗いたバトとヴィゼは驚いた。

日本語が読めないドドだけが紙を見ようともせず、きょとんとしていた。


「良かった。日本語、漢字も読めるんだね。なら、安心だ。一緒に頑張ろう。さぁ、中に入って。」


男子生徒に促されるまま、使い魔達は、教室の中に入った。

ドド以外、使い魔達の顔色は悪い。


「あの…。」


困惑する使い魔達を代表して、ノラは質問しようとしたが、男子生徒は片手を出して、ノラの発言を制止した。


「今から説明するから、ここに座って待っていて。」


男子生徒は、それだけ言って、教室の前の方へ行ってしまった。


教室の中には、ノラ達の他に、四つのグループが居て、それぞれのグループで、ノラが持っている紙と同じ紙を持っているようだった。

ただ違うのは、青めているノラ達とは違い、他のグループは、どこか嬉しそうで、わくわくしているように見えた。


「お待たせしました。混乱を防ぐ為、皆さんにだけ、お伝えしました。先程、お渡しした紙に書かれている通り、この学校には、今、爆弾が仕掛けられています。爆発したら、校内に居る人間は勿論、周辺の住宅にも被害が及びます。制限時間は、この文化祭が終わるまで。その前に、爆弾を見つけてください。今から新たにもう一枚、お配りします。お手にした方から、爆弾を探してください。それでは、お願いします。」


「どうぞ。」


「!」

「!」

「!」

「!」


いつの間にか、すぐ傍に来て居た女子生徒が、白い封筒を差し出していた。


「………。」

「ありがとう。」


受け取るのを躊躇うノラに代わり、バトが白い封筒を受け取った。

すぐに、封筒の中から紙を取り出し、広げる。

紙には、暗号のようなものが描かれていた。


「何?これ。」


ヴィゼが目を丸くした。


「この暗号を解かなきゃ、爆弾が見つからないんだろ?見つけなきゃ。マリアは知らないんだ。」


バトは必死の形相で、暗号を見詰めた。




「おぉ!」


数分後、一つのグループが、暗号を解いたようだった。

誇らし気な顔をして、教室を出ていく。

ドドは、出ていくグループを眺めながら、不思議そうに呟いた。


「爆弾、みんなで探した方が早く見つかるのに、どうして解いた暗号、みんなに教えてあげないんだろう。」


確かにそうだと、使い魔達は思う。

近くに居た、封筒を持って来た女子生徒を見た。

女子生徒は、困ったように微笑み、言った。


「最初に見つけたグループは、ご褒美が貰えるの。」


ヴィゼがカッとなった。


「早く爆弾を見つけて、みんなを助けるよりも、ご褒美なの?」

「日本人は、みんなそうなの?」


ノラも怒っていた。


「そんなことないわ。今回のこれに関してだけよ。爆弾を見つければ、あなた達にも分かるわ。」


女子生徒は、困り切った顔で、弁解していた。

助けを求めるように、教室の前の方に居る男子生徒を見た。

男子生徒は、女子生徒を見て、首を横に振っていた。


どいつもこいつも!


「………。」


ヴィゼは拳を握りしめていた。




「わかった!」


更に一組が出て行って数分後、ようやくバトが暗号を解いた。

紙を握り、立ち上がる。


「行こう。」


全員に目配せして、教室を出た。






「暗号の答えは何だったの?」


ヴィゼが聞いた。

教室の中には、まだ二組残っていたので聞けなかった。


「3年2組、ヨーヨー。」

「なにそれ。」

「行ってみれば分かるよ。」


バトの答えに、ヴィゼは首を傾げた。

ノラが妥当な結論を言った。

ドドはついて来るだけだった。











「これを使うのよ。」

「………。」


天使のような女子生徒に銃を渡されたクロは、作り物だと分かってはいたが、おもちゃであることを知った。

先程の男子生徒が、何かをセットしているのを見た。

何をセットしているのかまでは、分からなかったが、それが輪ゴムであったことも、この時、知った。


「これを、こうやってセットするのよ。」


女子生徒は、輪ゴムの掛け方もクロに教えた。


「ここが引き金。指で引っ張ると輪ゴムが飛ぶわ。よく狙ってね。」

「うん。」


クロは、並んでいる人形たちを見た。

どれも紙が貼ってあるだけの人形だった。

キングが居て、クイーンが居て、騎士が居る。

カボチャや、お化けも居るし、動物も居た。

どんなコンセプトで作られた人形なのか、全く分からない。

とにかく当てて倒そうと思い、クロは引き金を引いた。


パンッ!

「当たった!」


女子生徒が言った。


「………。」


クロは、意外にも勢いよく輪ゴムが飛んだので、驚いた。


「キングよ。すごい。」


女の子に褒められ、気を良くしたクロは、次もキングを狙った。


パンッ!

「また当たった。今度もキングよ。」


「へへっ……」


ちょっとカッコイイかもしれないと、自分自身に照れながら、再び、キングを狙って引き金を引く。


パンッ!

「またキングよ?すごいわ。」


3回連続のキング命中に、射的係の女の子達が驚いて集まって来た。


「すごいわ。今日初よ。」

「おめでとう。」

「すごい、すごい。」

「びっくりしたわ。」


女の子に囲まれ、められて、クロは有頂天だった。







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