プロローグ
主人公徐々に強くなっていく系です。
「カカッお主も強くなってきたのぅ」
「はは、お前に言われても説得力がないんだよな」
「む、そうか?お主は本当に成長してきとるぞ、この覇龍からみてもな」
「ならいいんだけどな、今のところあまりにお前との差がありすぎて、お前と比べると前と変わらない気がするんだ」
「まあ、この妾に比べれば、お主など、足の血管の一部にも及ばないわ!」
「例え方分かりにくいって、まあ、いつか超えてやるけどな」
豪快にこいつは笑う。
「励め励め!妾より強い者などこの世界にほんの一握りも居ないがな!」
実際こいつより強いやつなんて見たことないんだがな。
ふと隣を見てみる。
隣に座るは確かな角と尾が生えた少女、信じられるだろうか、いくら世界が広いと言ってもこんな容姿をしている少女が居るはこの世界だけではないだろうか。
一方自分の容姿を見てみる。少し前まではスーツを着て、大手企業へ勤めていた平社員の俺、だが今の姿を見てみよう。
足元に倒れている巨大な"魔物"と呼ばれる生物、随分と縮んだ背丈、白い肌、長くさらさらな髪、ここまできたら分かるだろう。異世界転生をしたのだ、しかも女の子に。いくら事実は小説より奇なりと言ってもこんなことがありえるのか?
いいや、ないね、少なくとも地球では。別に転生したいとか女の子になりたいとかそういう願望がある訳ではない。
まずはこうなった経緯から説明しよう。
仕事でも順調な成果を挙げ、次期部長候補にも上がっていたほど波に乗っていた俺、高瀬吹雪は人生初めてデートに誘われた。
お相手は二十代前半の会社の同僚、藤堂翔子という美人な女性。
生涯自分は独身だと思っていた俺には相当嬉しくて、ちょっと、いや、かなり浮かれていたのだろう。藤堂さんとの待ち合わせ場所を確認していてスマホに夢中になっていた。
前から走ってきたトラックにも気づかずに、ふとスマホから目を離すと、時は既に遅し、トラックは既に目前まで迫ってきていて、必死に避けようとしても超人でもない俺の身体能力ではそれは不可能だった。
トラックはブレーキを踏み、スピードを抑えようとするが、スピードを抑えるにはもう遅すぎた。俺の体は見事吹っ飛び、人体から出ては行けない音が出てきた。トラックを見ると後退りして、少し待った後に逃げてった。畜生、クソ運転士が!
スマホ歩き、運動能力の低さ、後悔が浮かび上がってくる。
何より、俺の人生初のデート!よくも吹っ飛ばしてくれたな。
クソ運転士、覚えてろ、死んでも呪ってやる。
といってももう俺の体は限界を迎えており、体からは力が抜けていく。段々と眠くなっていき、意識が遠のく。
最後に聞こえたのは、電話越しに聞こえた藤堂さんの声だった。
と、いうクソ運転士のせいでこんなドラゴンや魔物が居る超危険な世界に放り込まれた俺、意外と異世界満喫しています。
チートとかは無いけど、可愛い少女と旅をするのは楽しい。
異世界に放り込まれた俺が世界にその名を轟かすまで、そんなありふれた小説のような俺の人生を覗いてみよう。
いかがですか?気に入っていただけたら次話も是非
ご覧ください。