キャラクター紹介 《1》
ここで唐突に登場人物の簡単な紹介を掲載させていただきます。
元々、本編用に書いたものですのでここで投稿している話だけでは分かりづらい部分も多々ございますが、そこら辺りは御容赦いただきますれば幸いと存じます。
本編の為の予告編と言うように受け取って頂ければ幸いです。
タツロー・コガ
(身長171cm24歳)
本作品の主人公。太輪拳なる拳法の使い手。
その性格は小心で人付き合いが苦手。おまけに生活力に乏しくつぶしの利かぬ男で取り柄と言えば武術くらいのもの、能無し宿無し甲斐性無しの三無主義者。そのオタク的性格で拳法の修行だけはやたらとのめり込んで並々ならぬ腕前ではあるが、その位で食っていけるほど世の中は甘くない。こんな男だが、現在はライマーダの領主カーバルダ伯爵の邸宅に居候しながら週に一度はイグベノンで催される格闘技興行に参加している。なんと言っても彼が本年度のバーストスピリット大会の覇者であるから興行の目玉とも言うべき重要な立場なのである。一見のほほんとした昼行燈の風貌だが、これでなかなか苦労を重ねた男なのだ。と言うより、世の中ではいつも貧乏くじを引くタイプで、しなくてもいい苦労を自分から呼び込んでドツボにはまる男であった。
その生い立ち
彼の故郷グレストームは工業地帯として時代の先端を行くような繁栄を謳歌しており、父は歯車職人。職人を10人ほど雇う親方だが、別に息子に稼業を継がせようと言うような事も考えてはいなかった。甘やかす事も無かったが放任主義で、武術の修行に明け暮れてこれといった将来の展望も無い、糸の切れた風船のような息子に対してもあまり口出しはせず成人するまでは黙って道場通いに金を出してきたが、彼が二十歳の時、自分で食って行けと家を放り出され、ほとんど勘当同然の成り行きでタツローは故郷を後にする。武術の腕前は並々ならぬ水準だがなにとて他に能の無い彼が食い扶持を稼ぐとなったら矢張り当時流行していた格闘技興行にでも出場するしかなかったが、腕が立つと言うだけでやっていけるほど生易しい世界ではなかった。他人と張り合うような性格ではないが、これで意外と自意識が強く意固地な性格の為、格闘技興行でも成功するのは難しく、とうとうプロモーターと軋轢を起して仕事を干され、ヤクザのバーでバウンサーを引き受けたりするうちに最後は殺し屋にまで転落した。
その他の備考
カーバルダ伯爵を頼ってやってきたライマーダ、しかし、ここでも、イグベノンの通りで何度か命を狙われた事もある。行きずりの通り魔などではなく、プロの刺客が明確に彼を狙ってきたのだ。普通の手段ではタツローを倒せぬと分かると、最後には試合直後の喧騒に紛れて狙いを付けてきた事もある。いずれも未遂に終わったが、姿なき暗殺者による襲撃を受けたのだ。相手の顔も見ておらず、或いは同一人物ではない可能性もあるのだが、明らかにタツローの命を狙った確信犯である。しかし、今の所彼はこの事実を誰にも告げていない。ハッキリした理由は無いのだが、とにかく余り人に言うべき事ではない様な気がするタツローだった。無神経と言うより、寧ろ正反対、このような話を人に聞かせたらまた何を噂されるか、そちらの方を恐れているというのがどうやら本音らしい。大胆さではなく、寧ろ小心さゆえの判断のようだ。
現在の状況
現在は王制国家ライマーダの領主、カーバルダ伯爵の元で居候しながら週に一度は商業都市イグベノンに出かけ、賭け試合をこなしている。バーストスピリット格闘大会の優勝者は向こう一年、チャンピオンとして週一でフェロウビイ王立スタジアムで開かれる格闘技興行に出場する事が義務付けられている。これはトーナメントに出場する選手全員に対して予め定められた契約で、誰が優勝しても同じように毎週の試合に出なければならない。しかし、チャンピオンともなれば週一度の試合でも十分以上の収入が約束されており、寧ろ他の選手たちは普段でも場末の体育館や酒場の余興に顔を出して地道に稼いでおり、毎週フェロウビイの大興行に出場できる保証さえないのだ。かつては月に35試合なと言う過酷な労働を強いられたこともあるタツローとしては夢のような境遇と言える。個人的には、できたら週一度ではなくもう少しくらい、別に大会場で無くとも試合をこなしておきたいタツローだが、そうも出来ない事情がある。それは……
チェレミー・セシル・ド・カーバルダ
(身長146cm15歳)
ライマーダの貴族、カーバルダ伯爵の一人娘。メイドコスプレが趣味で、父親に叱られながらもその信念を貫く姿はこの年にして既に一人前の女の執念を感じさせる。タツロー様に身も心も捧げつくして一心に御奉仕申しあげる健気な少女。タツローにとって最大の苦手。一度自分の世界に入り込んだら何者をも彼女を制止する事は不可能である。思い込みの激しい性格で、こうと決めたら時に麓のイグベノンまで乗り出して興行主に抗議を申し入れるという思い切ったこともやる。そのせいか、意外なしっかり者と言う一面を見せる事もままあり、特にタツローに関してはその手管を充分に心得ており、手堅く手綱を握っているようだ。9年前に母親を亡くし、家族は二人の兄弟と父だけだが、屋敷には多くの奉公人が出入りしており、普段は寂しさを感じる事は無い。
__いつか、この作品の本編が皆様の御目に届く日を確信しておりますので、これからも御支援よろしくお願いいたします。