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申し訳ございません 【10】
「それで__」
殊更に、チェレミーの事を無視するかのような気配で伯爵が言った。
「日常の生活に不自由は無いかね、タツロー君__」
父が何を言わんとしているか、明敏なチェレミーは咄嗟に感じ取っていた。と言うより、最初から何を言うかは大体察しが付いていたのだ。伯爵の言いたい事の意味は無論タツローにも分かる。だが、それにどう答えればよいのかまでは答えを出しかねた。
「ええ、その__」
タツローにとっては困る質問である。
「正直、人様に身の回りの世話をお任せしたことなんてなかったですさかい__」
タツローの正直な本音ではある。
「却ってやりづらい事も__」
「成程__」
伯爵がさも愉快げに言った。
「色々と言いたい事もあろうが、気を使ってくれているのだな、申し訳ない」
そう問われても、はいそうです、とは言えないタツローである。




