表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/33

申し訳ございません 【2】


「おはようございます、チェレミーさ……」

ラシーヌは、声を失った。

「チェレミーさま?!」

それっきりでラシーヌは一言も無い。無理も有るまい、いつも見慣れたチェレミーの、初めて見るその出で立ちに流石のラシーヌも言葉が出ない様子である。

ラシーヌの目の前に立っているのは、自分と同じメイドのエプロンドレスに身を包んだ、この館の主カーバルダ伯爵の一人娘チェレミーであった。

目を丸くしてこちらを凝視するラシーヌの視線に流石に気恥ずかしい想いなのか、チェレミーは照れくさそうな上目遣いで、身を縮めるように肩を竦めていた。

「お嬢様、その、御姿は__」

「……おかしいですか……」

「__い、いいえ!」

驚きのあまり言葉も無いラシーヌだが、ともかくチェレミーの気分を慮って力強く答えるのだった。

「そのような事は、決して!」

「そうですか」

心から幸せそうな笑顔で答えるチェレミーに、ラシーヌの胸は更に熱くときめくのであった。

「それでは、ラシーヌさん。わたくしも仕事が御座いますので失礼致します」

「あ、いえ、こちらこそ__」

まるで本物の新米メイドのように初々しく叩頭したチェレミーに、ラシーヌも会釈を返した。

「……」

忙しそうにその場を後にしたチェレミーを見送って、暫し放心状態のラシーヌだった。

「あ……あの……」

そんなラシーヌに後ろから、何やら申し訳なさそうに声を掛けたのは女中の一人、アンジェリカ。

「あ__」

振り向いたラシーヌは未だに心ここに在らずという面持ちであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ