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申し訳ございません 【1】

休み明けのラシーヌ・プラケットが勤め先であるカーバルダ伯爵邸に到着したのは昼前である。

この屋敷のメイドは現在総勢九人。毎日六人づつが勤めに出るのだが、その内訳は早朝に二名、昼前に一名が加わり、夕方には遅番と早番の二名が入れ替わり、夕食の後には昼勤の一人が帰宅、真夜中になる頃には夜勤が訪れ翌朝まで泊まり込む。現在、女中は全員が通いであり、住み込みはいない。皆、領内の館近隣に住んでおり、必要が無いからである。



「おはようございます__」


同僚のライザに挨拶をかわし、控室に足を運ぶラシーヌ。いつものようにメイド服に身を包み、意気も盛んに日々の務めに臨む姿は健気でもあり甲斐甲斐しくもあったが、それ以上に彼女にはこの場所に居られる事を幸せに思う理由があった。


“チェレミー様__”

この屋の主、カーバルダ伯爵の一人娘チェレミーの事を思うと、ラシーヌの胸は疼く様に高鳴った。


“昨日__ラシーヌは淋しうございました”

箒を手に、思わず顔を赤らめるラシーヌ。


“わたくしが、日々こうして生きていられるのは__全てはチェレミー様の__”

このラシーヌ、御歳一八歳にしてはいやに老けこんでいるかと思えばこのような善からぬ妄念に身悶えするという、何とも複雑なキャラクターでもある。


その時__


「あら、ラシーヌさん」

ラシーヌの背中に届いたのは、他ならぬチェレミーの声であった。


“お嬢様”

小さなときめきを胸に抱き、ラシーヌは振り向いた。

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