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依頼
放課後になり、3人は集まっていた。
「どうだった?」
「板書全然できない」
若葉が聞くと、半泣きで輝空は言った。
「藤先は消すの早いからね」
「藤先?」
「藤田先生のこと」
「ああ、あのポニテの人」
「そう。その人」
若葉と輝空は話し続けるが、句射譁は朝の機嫌の良さが嘘のように無口だ。
「句射譁ちゃんどうしたの?」
思わず輝空は若葉に聞いてしまう。
「え〜とね、まあいつもの事だから気にしないで」
若葉は句射譁を見て、困ったように笑った。
「ごめんね。先に帰れる?道わかる?」
「え?一日目で?道はわかるけど...」
「そっか、なら良かった!」
若葉は嬉しそうに笑う。
「なにかあったらすぐ連絡してね?」
「わかってるよ」
輝空は教室を出て、廊下を歩き出した。
残された若葉は句射譁に向かって手を開き、
「おいで、句射譁」
と言った。句射譁は若葉の胸に飛び込む。そして、頭をグリグリと押し付けた。
「今日もお疲れ様」
優しく声をかけ、若葉は句射譁の頭を撫でてあげる。