輝く空
少女がお風呂から上がってくるまで、桃花と菫は一緒に遊んだ。
少女は綺麗になると印象がとても変わった。最初は、なんだか烏のようにひっそりとしているのにどこか凛としている印象だったが、今は普通の可憐な少女だ。
「名前は?」
「星月輝空です」
ちょっと変わった名前で、紙に名前を書いてもらって、2人はやっと理解できた。
「変わった名前だね」
若葉が言った。
「うん。そうでしょ?でも、私この名前好き」
輝空は懐かしそうに目を細めて笑う。
「キラ!!カッコウイイ!!」
何故か桃花がカタコトで喋った。思わず3人は笑ってしまう。桃花は訳が分からずキョトンとしていた。
「んで、学校行ってる?」
菫は無理矢理笑いをこらえて質問をする。
「今は不登校ってことになってて、一応学校は通ってます。」
「そっかぁー。若葉とは一緒?」
「一高??」
「うん。一高」
一高とは、『一乃北之江東方西南高校』のことだ。学校名が長いので、大体は一高と略して読む。
「うん。多分この名前見たことある。星月って珍しいね、って友達の間で話題になってた気がするから」
「そう。なら学校には通えるね。良かった」
菫は学校が遠いところだったらどうしようか、と考えていたが、その心配はなくなった。
「部屋はどうする?」
「私の向かいの部屋にすれば?」
「うん。いいね」
「なにか分からないことがあったらいつでも聞いてね」
「ありがとう」
輝空は初めて年相応の可愛いらしい笑顔を見せた。