契約+他の魔物との戦い(3048字)
わたしはエリピア。狐の女の子。
わたしは、どこかのダンジョンに召喚されて、生まれた。
「おおっ、召喚成功だ!」
「すごい! レアなモンスターだよ」
召喚主が喜んでいるけど……なんで? だって、召喚って人間を呼び出すんでしょ? どうしてわたしみたいなレアなモンスターを呼べるの? そんな疑問が湧いてきたけど、すぐに解決した。
『ステータスオープン』と唱えると自分のステータス画面が出てくる。その横にはスキルも表示されていて……
【名前:エリピア】
種族:魔狐(幼体)
Lv.1/2400
HP:80
MP:50
筋力:E+
耐久:F-
魔力:B
敏捷:C+
運 :A
パッシブスキル 《魔法耐性》 アクティブスキル 《変化Lv.1》 固有スキル 《変化自在》
……これ、どうやら自分の姿を好きなものに変えられるようです。
そしてこの《変化》というスキルを使えば他の生物にも姿を変えられるみたい。
これはいいスキルですね。
ただ、欠点として本来の力が出せないようです。
それでも普通の動物より強いし、この世界の生き物の姿になれるのは大きいです。……ん? というか……最大レベル2400ってことは、今の私はLv1だけど……あれ? この人たちよりも強くなれるんじゃないですか? まあでも、今はこの人たちに従っておきましょう。いずれ私の本当の力を見せてやりますよ!
おっと、召喚主の名前がわからない。
「ところでマスターさん? お名前を伺いたいのですが」
「俺の名前は、ジョス・イル・ディアスだ」
ほう、ディアスという名前ですか。
覚えておきましょう。いつか復讐するときに必要になりそうですからね……。
「じゃあ早速だが、エリピアにやってもらいたいことがあるんだ」
ふむ、やはり私には使命があるようですね。
「この森に棲む危険な魔物たちを駆逐してほしい。頼めるかな?」
なるほど、そういうことですか。
確かにこの世界は弱肉強食の世界です。弱いものが強いものに喰われるのは仕方ないことなのでしょう。
「はい、任せてください」
さて、そうと決まれば準備を始めましょうかね。
まずは姿形を変えなければなりません。……うーん、どうしましょう。せっかくだしかわいいほうがいいですよね。よし、決めました。
「えっと……こんな感じでしょうか」
うん、なかなかかわいくなりました。では次はこの姿でどこまでできるのか確かめないといけませんね。
「じゃあ、行ってくるね」
私は森へ繰り出した。
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森に入ると早速獲物を見つけた。あれはホーンラビットかな? 角が生えたウサギさんだ。
さっそく《変化》を使ってみると……あら不思議! 姿が変わってしまいました。
その姿は……なんということでしょう。私が知っている一番可愛らしい小動物のうさぎさんではありませんか!……あれ、なんか自分で言ってて恥ずかしくなってきました。とにかくこれで狩りができます。
ではいざ、勝負!
「ピィ!」
よし、うまく捕まえられました。あとはとどめを刺して……
「ピイ!?︎」
……あれれ? おかしいな。いつもなら一瞬で仕留めるはずなのに。何か力が出ないような気がします。
よく見てみればステータス画面に警告が出ています。そこにはこう書いてありました。
【変化により弱体化しました】
どうやら弱体化しているみたいです。これは少し困りました。でも、この程度のモンスターなら問題なく狩れるでしょう。
その後も何匹か狩ってみたところ……どうやら弱体化すると攻撃力だけでなく、敏捷性も落ちているようです。つまり動きは鈍くなるものの素早く動くことができます。これならば普通に狩ることができるでしょう。
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……ふぅ。やっと狩り終えることができました。まさか《変化》を使ったのに、あんなにも時間がかかるとは思いませんでしたよ。それにしても疲れました。早く戻って寝床を作っておきましょう。
しかし私はこの時、油断してしまったのです。まだ自分が弱くなっているということを忘れてしまっていました。
狩りを終えた帰り道。突然背後から気配がしたので振り向いた瞬間、鋭いものが飛んできて私の肩に突き刺さったのです。痛いっ!?︎ 思わず地面に倒れてしまいました。これは一体……? そこで初めて気づきました。今の攻撃は爪による攻撃だったのでした。しかもただの爪ではありません。これは魔族の使う鉤爪というスキルですね。おそらくこれが今の一撃の威力だったのでしょう。
「グゥルル……ガアアッ!!」
どうしましょう。とても怒っています。それも当然ですね。
本来ならばこんな攻撃くらいなんてことはないのですが……今はなぜか弱体化しています。だからきっと、簡単に殺せると思ったのでしょう。
それが間違いだったのだと、目の前にいる敵は気づいたはずです。でもそのときにはもう遅いです。この状態でも十分に勝てると確信したときから、相手の動きを見ていればよかったものを……愚かなことですね。
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《Lv.9→Lv.32/2400》 Skill《爪術Lv.1》を取得……成功しました。
<スキルの取得方法を確認しました>
<称号『初めての狩猟』を取得しました> <スキル:《変化Lv.4》を習得……成功しました>
ふう、なんとか生き延びることはできました。この世界で生き残っていくためにはまず、この弱体化を克服しなければいけませんね。そのためにできることをやってみましょう。
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……さっきの反省を活かして今度は慎重に行きましょう。この森で一番強いと思われる生物の姿を頭に思い浮かべます。
イメージができたところで、スキルを発動させると同時に、自分の姿を変えていく感覚に襲われました。どうやらうまくいったようです。
「……グルル」
《鑑定 Lv.2(MAX)》
【名前:エリピア】
種族:ブラックベア
Lv.32/2400
HP:170
MP:115
筋力:D-
耐久:F+
魔力:B
敏捷:C+
運 :A
パッシブスキル 《魔法耐性》 アクティブスキル 《変化Lv.4》 固有スキル 《変化自在》
……さて、どうでしょうか?
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ふむ、どうやらうまく行ったみたいです。私のイメージ通りの動物になれたと思います。しかし、ステータスは弱体化しちゃってますね……。レベルは上がったのでいいとしましょう。それじゃあ確認も兼ねつつ早速試してみることにしましょうか。
最初に出会った獲物といえば……この辺だとスラーモッシュゴブリンあたりでしょうか? あいつらは集団で活動しているため一匹だけでは弱いですが、同時に襲ってくれば厄介なのです。まあ、それでも今の私の相手ではないんですけどね!
じゃあ次はスラーモッシュゴブリンを探しに行きましょう! それからしばらくして、ようやく獲物を見つけることができました。あれは、スライムでしょうか?たしかに単体だけならば大したことありませんが、数が多くなればそれだけで脅威になります。
では、さっそく行ってみましょう!
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「ギャッ!」
あれ? あっさりと倒しちゃいました。……なんだか拍子抜けですね。でも油断してたらまたやられそうです。
さて次の獲物は…… 《Lv.32→Lv.34/2400》
よし、このくらいのレベルなら問題ないでしょう。では、狩りを再開しますか。
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その後何度か戦ってみた結果、今の私は、かなり強いほうだということがわかりました。
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《Lv.40》 Skill《爪術Lv.8》 をゲット……失敗しました。
<称号『初めての死線』を獲得……失敗しました。>
<スキル《変化Lv.6》がLv.7》にレベルアップ……成功しました>
《Lv.50》 Skill《爪術Lv.3》を取得……失敗