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姉(ダンジョンマスター)と妹(2316文字)

『あなたはダンジョンマスターになりました』


 その声で私は目覚めた。寝起きで回らない頭とぼやけた視界に映るのは白い部屋、そして先ほどの声が響く。

 どうやら私は本当にダンジョンを作ってしまったらしい。

 ……いや、違うなこれは夢だ。だって私は今布団に入ってぐっすり眠っているはずだし……。


「お姉ちゃん!?」


 妹の声が聞こえる気がするけど気のせいだろう。


「ちょっと!お姉ちゃん!何寝てるの!」


 ガクンガクンと揺さぶられるが気にせず眠ろうとする。


「もう……えい!」

「んぎゃあああ!!痛ったぁー!!」


 思いっきり頬をつねられて飛び起きると、目の前には呆れた顔の妹がいた。……なんというか、この夢の中で目覚めるなんて珍しいこともあるもんだ。


「ほら起きた?」

「あーうん……おはよう……」


 まだ少しボーッとする頭を覚醒させる為に伸びをする。


「おはよ、じゃなくて!どういうこと!?お姉ちゃんが作ったっていうダンジョンができたって連絡きたから来たんだけど……ここどこ?私の部屋じゃないよね?」

「……あれぇ〜?」


 おかしいぞぉ〜?確かに私が作ろうと思ったダンジョンのはずなのになんか違う気がするぞ〜?

 妹の話によると私は1週間くらい前に突然パソコンに向かって何か呟いた後すぐに倒れて昏睡状態になったそうだ。

 その間私は全く動かず喋らずただずっと眠り続けていたらしい。

 まぁ夢遊病みたいなものだろうか。それとも睡眠障害とかだったのかも。


 しかし今はそんな事よりも目の前にあるダンジョンの方が重要だ。一体どうなってるんだろこれ?


「それでこれが例のダンジョンなのかしら?」

「多分そうだと思うけど……ねぇ中入ってみていい?」

「それは止めておくわ」

「え〜?なんで〜」

「こんなのが作れるような人が何を仕込んでいるかわかったものではないからよ。それより問題はどうやって元の世界に戻るか考えないとね」

「うぅ〜せっかくダンジョン作ったのに〜」


 折角ファンタジー感溢れる世界に来たと言うのにここで暮らすしか無いのかなぁ〜。

 でも家に帰ればベッドはあるわけだしこのまま帰ってもいいかもしれない。

 それにしても何で私はダンジョンを作ろうとしたんだっけ?確か異世界に行ってみたいと思ってたんだよねぇ〜。

 ん?待てよ?そもそも異世界に行きたいならダンジョン作る必要なくない?魔法陣書いてその中に入ればいいんじゃないの?なんでダンジョンにしたんだっけ?

 ……あぁ思い出した。ダンジョン攻略したらボーナス特典があるって聞いたからだ。確かステータスが上がるんでしょ?異世界に行く時の為に鍛えようとか思った記憶あるもん。

 それでダンジョン作ろうとか考えたんだ。でもダンジョン作っても魔法陣は書けないじゃん?だから自分で作れるようになろうとしたんだよね。

 ……あれ? じゃあ魔法陣が書けるようになったら帰れるってこと?よしじゃあさっさと魔法陣書きますかね!


「魔法陣書く道具持ってる人いない?」

「ペンとかインクとかはあるわよ」

「紙は?」

「無いと思うけど……」


 そっかぁ〜じゃあダメだね。

 紙さえあればダンジョンコアと繋がってるって言ってたしそれで転移できるはずなのに……。


「はぁ〜仕方ないか〜とりあえずご飯食べよっと」

「もう大丈夫なの?」

「うん、もう平気だよ〜」


 妹と一緒にリビングに向かうとお母さん達が驚いた顔をして駆け寄ってきた。


「ちょっとあなた!目を覚ましたって本当!?」

「うん、ついさっきだけどね〜」

「体は大丈夫なの?」

「全然元気だよ〜心配かけてごめんなさい」

「本当に良かった……急に倒れたって聞いてびっくりしたのよ……」


 家族全員に泣かれると流石に罪悪感が出てくる。


「ところでお姉ちゃん、この家はどうするの?」

「どうするって?」

「だってこの家にはお姉ちゃんしか住んでないじゃない?」

「……あっ!」


 すっかり忘れてた。この家の管理って誰がやってたんだろう?

 そもそも私が昏睡状態になるまで誰も管理していなかったってこと?

 いや、そもそも私以外には開けられない鍵だったはずだし、そんな簡単に家の中に入れはしないよね?

 じゃあ誰かが代わりにやったってこと?誰だろう?


「そういえばお姉ちゃんが寝ている間ずっと家に知らない人達が来てたけど、その人たちが全部してくれていたみたいよ?」

「え?そうなの?」

「お姉ちゃんの部屋に入る時にもインターホン押してたわよ?」


 えぇ〜?私起きなかったらどうするつもりだっだんだろう?

 とりあえず私はダンジョンコアに触れてみた。するとダンジョンマスター権限により魔法陣を召喚しますか?とメッセージが流れてきたので迷わずYESを選択する。これで私の部屋に戻れるはず……


「あら?光ったと思ったら消えちゃったわよ?」

「うぇ?」


 ……まさか失敗した?もしかして私が寝てる間に何かトラブルでもあったのかな?


「ど、どういうこと?」

「さぁ?よくわからないけどまた魔法陣書いてみたらどうかしら?」

「そうだね!」


 私はもう一度ダンジョンコアに触れる。今度は魔法陣を表示させる為だ。そしてそこに現れた魔法陣は………………


「ねぇ……これ何?」

「何って魔法陣よ?見覚えないの?」

「違う!そうじゃなくて、これって……これってダンジョンの外にあるよね!?」

「えぇそうみたいね?」


 そこには間違いなく、先程私が夢の中で作ったダンジョンの魔法陣があった。つまり……どういうことだ?


「もしかしてダンジョンが2つできた?」

「……は?」


 妹が呆れた顔でこちらを見ているが気にしている余裕はない。だってこれは私の想定外なのだから。


「ダンジョンが2つってどういうことかしら?」

「えーっと、1つはここにあるものと同じもの。で、もう1つがさっきの夢の中で作ったやつなんだけど……」

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