少女むぅ+大男から逃げる少女(2117字)
(状況……むぅは、魔物を軽々倒せるほどに強い少女である。今は草原で寝ている)
むぅは、足音で目が覚めた。
そちらを見ると、少女が焦って走っていくのが見える。
「待ちやがれ!」
大男がその少女を追う。
「ひっ!ごめんなさいっ!!」
少女は必死に逃げようとする。
むぅは、大男の前に立ち塞がる。
「なんだぁ?嬢ちゃん」
むぅは、大男の顔をじぃっと見る。
「……おいおい、冗談だろ。俺の顔に見惚れたのかよぉ!?」
大男は下卑た笑いを浮かべる。
「おいガキ、そこどけぇ。じゃねぇと痛い目見るぞぉ?」
むぅは、少女の手を握る。
「……えっと」
「あーん?何言ってるか聞こえないなぁ?」
むぅは、魔力を込めて、魔法を唱える。
「…………」
大男は動かなくなる。
むぅは、少女を連れて歩き出す。
「待て!!お前ら、止まれ!!!」
後ろから声が聞こえる。
「逃げよう!こっちだよ!」
むぅは、少女と一緒に走り出した。
しかし、追手の方が速いようで、徐々に距離を詰められていく。
「……もうダメかも……」
少女は諦めかけていた。
むぅは、振り返り、追手の方を向く。
そして、魔法を唱えた。
「…………」
追手が動かなくなった。
むぅは、少女の手を取り、再び走り始めた。
二人は森の中へ入っていった。
むぅは、少女に話しかけられる。
「あの……お名前を聞いてもいいですか?」
「……むぅ」
「私は……むぅちゃんって呼んでいいかな?」
「……うん」
「私の名前は、みゃーこです。よろしくね」
「……むぅは、喋るの苦手だけど……」
「ふふっ、ゆっくりで大丈夫ですよ」
「……わかった」
こうして、むぅとみゃーこの不思議な旅が始まった。
──────
みゃーこは、森を抜けると大きな街に着いた。
その街の門番に止められてしまう。
「君たち、どこから来たんだ?」
「……えっと、その」
みゃーこは、言葉に詰まる。
「……ここからずっと遠い所」
「そ、そうなのか。それで、身分証はあるか?」
「……持ってません」
「……なら、銀貨一枚払ってくれ」
「はい」
「よし、通って良いぞ」
「ありがとうございます」
二人は街に入っていった。
「むぅちゃん……これからどうしよう」
「……むぅ、分からない」
「そうだよね……」
「……とりあえず、ご飯食べたい」
「……それなら、あそこに行こう」
「……うん」
二人は食堂に入った。
中は賑わっており、とても騒がしい。
二人が席に着くと、給仕の女の人がやってきた。
「いらっしゃいませっ!ご注文は何にしますか?」
「……むぅ、肉」
「私は、パンとスープでお願いします」
「かしこまりました!少々お待ちください」
「……」
「……」
しばらくすると、料理が出てきた。
「お待たせしました!こちら、野菜のスープと、ステーキになります」
むぅは、目の前に置かれたステーキを見る。
「……美味しそう」
むぅはナイフとフォークを使って一口サイズに切り分け、口に運ぶ。
「……おいしい!」
「本当だね!こんなに柔らかいお肉初めて食べたよ!」
「……」
むぅは、無言で食べ進める。
「ところで、みゃーこさんはこれからどうするんですか?」
「……うーん、どうしよう」
「……むぅ、一緒に居ていい?」
「……いいの?」
「……うん」
「じゃあ、よろしくね!むぅちゃん!」
「……よろしく」
──────
次の日、二人は街を出た。
「……どこにいく?」
「……取り敢えず、北に向かって歩いてみる?」
「……わかった」
「……あと、昨日の続きだけど、むぅちゃんは魔法使えるの?」
「……うん、一応」
「……すごいなぁ」
「……でも、あんまり得意じゃない」
「そうなんだ」
「……みゃーこは、魔法使えないの?」
「……私は、魔力がないから」
「……魔力ないの?」
「……うん」
「……それなのに、どうやって生きてたの?」
「私のお父さんが、魔法使いだったの」
「……凄い人」
「でも、三年前に死んじゃったけどね」
「……」
「お母さんは、私が小さい頃に病気で亡くなってるし、親戚はみんな遠くに住んでるから頼れないの」
「……」
「だから、一人で生きていこうと思って冒険者になったんだけど、やっぱり私には無理みたい」
「……」
「まあ、仕方ないか!これからは、二人で頑張っていこうね!」
「……うん」
こうして、むぅとみゃーこの不思議な旅が始まった。
──────
二人は森を抜けて、山道に差し掛かっていた。
「むぅちゃん、疲れたりしてない?」
「……大丈夫」
「良かった!でも、本当に助かったよ。ありがとね」
「……うん」
「でも、これからどうしよう」
「……お金もないし、野宿?」
「そうだよね……それに、食料もないもんね」
「……むぅ、干し肉ならある」
「え?いつの間に!?」
「……さっき」
「えぇ……」
「……食べる?」
「いや、遠慮しておくよ」
「……そう」
「……」
「……」
二人は無言で歩き続ける。
「……ねぇ」
「何?むぅちゃん?」
「……みゃーこってどんな人だったの?」
「え?」
「……むぅ、知りたい」
「うーん、そうだなぁ……」
みゃーこと過ごした日々を思い出しながら話していく。
────── 私がむぅと出会ったのは、二年前。
まだ、むぅが指名手配される前のことだ。
私はその時、Dランクの冒険者で、むぅはCランクだった。
Cランクともなれば、それなりに名が売れている。
そんな人が、何故あの時あんな場所にいたのか