表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/7

自然観察教室の参加者は四人

 自然観察教室が始まる時間になったら、梨田さんの言う通り、三人が来た。


 全員、見たことのある女子小学生だった。


 仲良し三人組っていうやつかな。




 早速四人で公園に行った。


 今は秋。


 公園にはどんぐりがたくさん転がっていて、潰れてさらにすりつぶされた粉みたいになってるやつもある。


 今日の自然観察教室の内容は、どんぐりのこまを作ることだ。


 バランスのいいどんぐりを見つけて、穴を開けてそこに爪楊枝を刺す。


 まあそれだけだと物足りない気がするけど、こんなのんびりした公園の中にいるんだから、物足りないくらいがちょうどいいと思う。


 どんぐりごまを作るってなった時に面白いことに、仲良し三人組は、みんなで協力して長く回るこまを作ろうとし始めた。


 どうだろ、普通ならそれぞれでこまを作って、誰が一番長く回るかをバトルしたりする気がする。


 でも、僕にとっては、仲良し三人組のやり方の方が、心地よかった。


 


「五秒くらいしか回んないねー」


「うん、そうだねー」


「智洋先生何かコツとか知ってますかー?」


 公園の中のベンチと机があるところで、何度もどんぐりごまを回していた三人が、僕に訊いてきた。


「どうだろ、多分爪楊枝がまっすぐ刺さってないんじゃないかな」


「あ、なるほどー、まっすぐ刺してみます!」


 そう言って、水色が好きな、いつも水色基調の服を着ている子が、爪楊枝をまっすぐに刺し直す。


 ていねいにランドセルから三角定規を出してまで正確に刺そうとしている。


 そして、刺し終わった後、回すと……。


「すごい!」


「クルンクルン回ってるー!」


「周り方もふらふらしてなくてきれいだねー」


 幸いなことに僕のアドバイスが役に立ったようで、どんぐりごまは綺麗に回った。


 そして、三人から智洋先生はすごいです! と褒められて、これまた心地よくなった。


 

 それからも少しどんぐりごまを回していると、


「あ、楽しそうなことしてる〜」


 一人、僕たちのところにやってきた。


「あ、こんにちはー」


「四人めだねー」


「智洋先生合わせたら五人だよー」



 後から来た一人も、どんぐりごまを作って回し始めた。


 なんか上手くて、1回目から綺麗に回っている。



 ☆    ☆    ☆




 五時になると、小学生は帰る時間だ。


 仲良し三人組は、手を振って公園を出て行った。


 残ったのは後から来た人と、僕だけ。



「君は帰らないの?」


 

 そう訊くのが普通の流れかもしれない。


 けど、僕はそうはしない。


 僕は、目の前に座っている、僕と同い年くらいの女の子を見つめた。


 そうだな、代わりにこう話しかけてみよう。


「久しぶり、美月」

 

お読みいただきありがとうございます。最後まで読んでいただけたら嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ