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うん?
眼を開けると俺は倒れてた。
右脚の太ももに痛みが走る。
俺の前には、両手を広げて俺をかばうモッキュの小さな背中。
その向こうの2階部分には銃を構えたヴァルゴ。
元に戻った!!
モッキュが撃たれる直前まで戻ったんだ!!
ヴァルゴの銃が火を吹いた。
銃弾は真っ直ぐ飛んで、モッキュの身体を貫…かない!
ガヤオのキラキラ光る盾がモッキュの前に差し出されたから!
ガヤオの盾は、カン高い音をたてて銃弾を跳ね返した。
弾はあさっての方向に飛んで、壁にめり込んだ。
Thank You ガヤオ!
ヴァルゴの眼が驚きに見開かれた。
突然、現れた見知らぬ男に度肝を抜かれてる。
しかも、その男に邪魔をされたのだから二重の驚きだろう。
次に起こる展開が俺の頭の中に閃いた。
「モッキュ、銃を!」
モッキュが背中のバックパックから予備のレーザーガンを俺に投げる。
ガヤオがモッキュを抱き抱えて、俺の前からどける。
俺とヴァルゴの間には何も無くなった。
急にモッキュとガヤオの動きが遅くなり始める。
どんどんスローモーションになっていく。
俺とヴァルゴは変わらない。
いや、実際は俺とヴァルゴのスピードが速くなっている。
同時にブーストONした結果だ。
これであとは、純粋な銃の技術の勝負になる。
俺とヴァルゴは同時に引き金を引いた。
ヴァルゴの撃った銃弾が、俺の右頬をかすめていった。
俺の撃ったレーザーはヴァルゴの額を正確に撃ち抜いた。
ブーストONが終わった。
ヴァルゴがバタリと倒れた。
さよなら、ヴァルゴ。
さよなら、俺の家族。




