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「そのかたはガヤオさんです」
女性が言った。
ガヤオ…?
「あなたを助けてくれるはず。連れていってください」
この変な人を…連れていくだって!?
何で!?
「必ず役に立ちます」
俺の考えを読んだのか、女性が先回りして答えた。
「ガヤオさん、ジローさんを助けてくださいね。お願いしますよ」
女性の言葉に、ガヤオが渋々頷いた。
「しょーがないな。最近、呼び出される頻度が多くない? やるけど! 手伝うけど!」
ガヤオが、わめく。
うるさい人だな…。
切り換えよう!
俺はモッキュを助けられたら、それでいい!
他の条件は全て飲む。
「それでは、これからモルガングレムスの心の中に、あなたたちを送ります。そこでモルガングレムスが心を開くよう説得してください。良いですか?」
「分かった」
俺が頷くと同時に白い部屋が一瞬で消え、周りが真っ暗闇になった。
これがモッキュの心の中?
「ライト」
ガヤオの声がした。
丸い形をした明かりが出現して俺たちを照らした。
光の球はガヤオの右の手のひらにある。
驚いてる俺を見てガヤオが「魔法だよ。あれ?見たことないの?」と言った。
魔法…。
いや、今はとにかくモッキュを捜そう。
俺とガヤオは辺りを捜索した。
しばらくすると前方に、かなり微かだが、ぼやっとした明かりが光っているのに気づいた。
俺たちは、その光の方向へと進んだ。
弱い光の中に座り込んでる影。
あれは…。
「モッキュ!!」
俺は走った。
慌ててガヤオもついてくる。
モッキュだ!
間違いない!
こっちに背中を向けて、うなだれてる。
両手で自分の身体を抱きしめてた。




