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「最悪です」
眉を吊り上げる。
「モルガングレムスが目覚めてしまいました」
モルガン…何だって?
「これは考えられるうちの最悪のパターンです。普通に撃たれただけなら、モルガングレムスは完全解放まではしていなかった。これは恐らく、あなたを守りたいという強い気持ちがリミッターを破壊してしまい招いた結果だと思われます」
女性が続けた。
「ここはどこだ!?」
俺は怒鳴った。
まずは現状を把握しないと!
「ここは、わらわのオフィスです。まあ、遊び場も兼ねてますがそれは上司には内緒ですよ」
女性が人差し指を口元に当てて「しー」のポーズをした。
俺は怒髪天を突いた。
モッキュが死んだかもしれないのに時間を無駄には出来ない。
「そういう意味じゃない! 俺がさっきまで居た場所はどうなった!?」
「ああ」と女性は頷いた。
「なるほど、そうですよね。説明不足でした。ここは高次元の生命体であるわらわが作った…そう簡単に言えば異次元です」
俺は女性に近づいて、右手で女性の肩を掴んだ。
「そんな世迷い言を聞いてる暇はない!早く…何だか分からないが元に戻せ!」
女性は俺の手をソッと、どけた。
「元に戻すと続きはこうなります」
女性が手に持ってるタブレットの画面を俺に向けた。
画面には研究所の最後の部屋が映ってる。
変身したモッキュは更に巨大化して、研究所ごと俺とヴァルゴは黒い炎に焼き殺された。
モッキュの勢いは止まらない。
ビル大になったモッキュの身体から出る黒い炎は周りを全て焼き尽くし、惑星の反対側の半球にあった大都市を一瞬で蒸発させた。
まだ続く。
ついに惑星自体が燃えだし、割れ、粉々になった。
そのときはもう、惑星よりも大きくなっているモッキュは吼え、叫び、うめき続け、周囲の星をどんどん破壊して…この星域を消滅させ…。
「何だ、これは!?」




