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「ジローはボクが守る!!」
モッキュが叫んだ。
「モッキュ、ダメだ!!」
俺の制止は、ヴァルゴが撃った銃声にかき消された。
ヴァルゴは続けて撃った。
3発の銃弾を受けたモッキュは、その場に倒れた。
怒りと恐怖の混じりあった咆哮が俺の喉まで来たところで突然、周りの空気がミシミシと異様な音をたてた。
「!?」
俺もヴァルゴも、その形容しがたいゾッとする気配に凍りついた。
倒れているモッキュの小さな身体が膨らんだ。
そんなことはあり得ない。
だけど、文字通りモッキュは膨らんだ。
そして、モッキュから真っ黒い炎のようなものが、メラメラと立ち昇った。
さらに大きくなり続け、モッキュは起きあがった。
3m程になったモッキュが、俺が今まで一度も聞いたことがないおぞましい雄叫びをあげた。
俺は理解不能な現象におののいて両目を閉じ、もう一度、開いた。
すると、一瞬で何故か俺は違う部屋の中に居た。
何を言ってるのか分からないかもしれない。
そりゃそうだ、俺も何が起こったか全然分からない。
俺はヴァルゴと戦ってた。
そして、モッキュが撃たれた。
モッキュの姿が変わって…俺はこの何もかもが真っ白い小さな部屋に、いきなり立ってた。
立ってる!?
ヴァルゴに撃たれた太ももの怪我が治ってる!
まったく痛くない。
これはいったい?
目の前には白いソファーに座って、こっちを向いてる人が居た。
女性だ。
雪のように真っ白い肌。
細面に高い鼻、深緑色の瞳、めちゃくちゃ美人だ。
ロングの髪の毛が、これまた真っ白い。
白い布をドレスのように身体に巻きつけて、神話の登場人物みたいだ。
「あーあ」
女性が言った。
両手でタブレットを見てる。
女性が顔を上げて俺の顔を見た。
「あーあ」
もう一度、言った。




