26
部屋は常に研究員に監視され、全てのスケジュールが決められていたから、これは異例の事態だった。
ヴァルゴは小声で他の11人に告げた。
「私たちは騙されているわ」
それだけだった。
だけど、それで充分だった。
すぐに飛んできた研究員が部屋の電気を点け「どうした?」と確認した。
「何でもありません」
ヴァルゴが答えた。
俺たちは再び消灯して横になった。
各々がこれからすべきことを考えていた。
その日から俺たちは、研究所員たちの目を盗んで謀議を重ねた。
ヴァルゴが知った情報はこうだ。
俺たちの生い立ちは合っている。
「悪」を倒す為に編成された「正義」の部隊。
これは嘘だ。
研究所の奴らは単純に俺たちを商品として育て、最後は脳改造を施して売り飛ばす。
主人の命令を嬉々として遂行する超人部隊ってわけだ。
真実を知った俺たちは怒髪天をついた。
復讐しなければならない。
俺たちはまず、リーダーを選んだ。
ヴァルゴが選ばれた。
ヴァルゴは計画を練り、俺たちに指示を出した。
1週間で準備は終わった。
この施設の人間を出来るだけ多く倒してから脱出する計画。
今夜、決行する。
「レオ」
ジェミニが俺を呼んだ。
「時間か?」と俺。
「うん」
ジェミニが答えた。
さあ、狩りの始まりだ。




