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 メルタックはミーコの言葉に眼を伏せた。


「そうだ、君が正しい。私は罪人だ」


「怪我の治ったあんたは、ここの人たちに戦闘技術を教えたってことか。何で『教祖様』と呼ばれてる?」


 俺は疑問を口にした。


「それは…」


 メルタックは一瞬、言い淀んだ。


「彼らは戦う事を恐れていた。しかし、この星の状況では戦わねば、いずれ殺されるだろう。彼らの恐怖を軽減する為に都合の良い宗教感を取り入れた。仲間を守り、戦う事は神の教えだと…」


「ハッ」


ミーコが、また笑った。


床にツバを吐く。


「彼らは次第に訓練を受け入れ、いつからか私を『教祖』と呼ぶようになっていった」


 全員が黙った。


 チェイミーがモッキュにグイグイしてる。


「さあ、どうやって決着する? 俺たちは賞金首のあんたを連れていきたい。ミーコは…」


 ミーコをチラッと見ると表情が少し落ち着いてた。


「『端末』を探してる」とミーコ。


「ああ、『端末』なら、この建物にある。案内しよう。私は君たちについていく。だから、彼らに危害は加えないで欲しい」


 もちろん俺は、関係ない人たちを戦いに巻き込むのはゴメンだ。


 メルタックが本当に俺たちに大人しくついてくるなら、良い落としどころだろう。


 ミーコたちが案内される「端末」の場所へと、俺とモッキュも行くことにした。


 ここを無事に出るまでは、離れないほうがいい。


 もし、メルタックが嘘をついてたら危ない。


 実際は悪いことは何も起こらなかった。


 ミーコは「端末」から欲しがってた情報を引き出して、あとはメルタックが俺たちについてくるだけになった。


 ここでまた、ひと悶着。


コミュニティの人たち、特にガスマスクたちが、メルタックが出ていくことに、なかなか同意しなかったからだ。


 狂信的なまでにメルタックを崇拝してる。


 弱かった自分たちに戦う術を教えてくれたのが嬉しかったのか、リンクさせたウソ宗教にハマり過ぎてしまったのか。


 一時は、男たちが俺たちに襲いかかりそうな不穏な雰囲気になったが、メルタックの「罪を償ったら帰ってくる」の言葉で無理矢理、納得させた。


 これは嘘だ。


 メルタックの罪は、どう考えても生きてるうちに償えるものじゃない。


 結局は、この嘘が決め手になった。

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