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「完全に、おかしくなっていた。モラルなんてものは微塵もない。そう、狂暴なモンスターだよ」


 うん?


 モッキュの顔色が悪いぞ。


 毛に覆われてるけど、俺にはすぐに分かった。


 もしも「モッキュ検定」があったら、俺は確実に98点はとれる。


 残りの2点はモッキュが俺に話さない悩みの分だ。


「狂暴なモンスター…」


 モッキュが呟く。


 あれ?


 涙目になってる?


「モッキュ?」


 俺の声でモッキュは、ハッとなった。


「ご、ごめん」


 無理矢理の笑顔。


 気になる…。


「賞金をかけられた私は次第に追い詰められて、このシュトレルに逃げ込んだ。すぐにヘマをした私は重傷を負い、彼らに助けられた」


 メルタックが続けた。


「彼ら」は、ガスマスクたちだな。


「彼らはある戦いに敗れ、鉱山に逃げのびたグループだった。ひどい惨敗だったのか、彼らは戦うことにトラウマを持ち、坑道を利用し、只々、息を潜めて隠れ暮らしていた。私を助けるか助けないかも、かなり揉めたようだ。結果的に私は助けられた」


 メルタックの唇が震えた。


「そして、初めて人の情けに触れた私の心に変化がおこった。何を今更と思うだろう。だが弱々しい彼らが献身的に私の世話を焼いてくれるのを見ていると、今までの異常な残虐性や攻撃性が陽に照らされた氷のようにみるみると溶けていくのが自分でも分かった。私は救われた。怪我が治った半年後には、私は全く別の人間になっていたのだ」


「ハハハッ」


 突然、ミーコが大きな声で笑った。


「何、その話」


 ミーコは明らかに怒ってる。


 まあ、俺がミーコと出逢ったのは、ついさっきだから、そんなにミーコに詳しいわけじゃない。


 でも、俺の知ってるミーコは無表情で、ぶっきらぼうで、めちゃくちゃ冷静なやつだ。


 そのミーコが、激しい怒りを隠さずにメルタックをにらみつけてる。


 瞳には黒い炎のようなものがメラメラと燃えていた。


 うーん。


 どうした?


「どんな言葉を並べても、お前が犯した罪は消えない。今のお前は関係ない。過去のツケを払うだけ。私がもしも、家族を殺されてたら、もうとっくにお前を撃ち殺してる」

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