2
酒場を出たフダールを追って、宇宙港の倉庫街まで来た俺とモッキュ。
あ。
俺はジロー。
遺伝子操作で生まれた…今回は割愛。
奴は札付きのワルで高額の賞金首。
もちろん、捕まえようと尾行してる。
「どこに行くのかな?」
「チャンスがあれば捕まえるぞ、モッキュ」
「うん」
フダールが急に走り出した。
まずい!
慌てて追いかける。
居ない…しまった!
「おい、小僧」
後ろからフダールの声。
銃を抜いて振り返ると…モッキュが、奴に捕まってる!!
最悪…。
「動くな。この小熊の頭が吹き飛ぶぞ」
モッキュ!
簡単に捕まってんじゃないよ!
ちょっとは抵抗しろ!
「ジロー、助けて!」
自分のせいだろ!
もう知らない…何回助ければ…泣いてる…泣いてるモッキュ…モッキュ…かわいい!
めちゃくちゃ、かわいい!
「銃を捨てろ!」
モッキュ、かわいい!
抱きしめたい!
「早く捨てろ!」
うるせー!!
俺を差し置いてモッキュを抱いてる、おっさんGo To Hell!!
ブレスレットからの増強剤注入で「ブーストON」。
遺伝子操作されてる俺は短時間だけ、超スピードで動けるようになる。
惑星モーラでガパチョに囲まれたときも、これで切り抜けた。
おっさんとモッキュの声がどんどん、ゆっくりになっていく。
頭をぶっ飛ばす?
けど、賞金もあるからな。
ハンドガンでフダールの右肩と右足を撃ち抜く。
スピードが、元に戻る。
奴が叫びながら派手に倒れた。
「ジロー!!」
「モッキュ!!」
モッキュ、かわいい!!
めちゃくちゃ、かわいい!!
「ああ…ああ…ジロー、苦しい。あと、その人が死んじゃう」
えー!
抱擁タイム終わり?
やだやだ!!
もっと、ギュってしたい!!
「あがが…い、医者を呼んでくれ…」
おっさん、情けない声、出すな!
奴が死なないギリギリまで、モッキュをハグしよーっと。