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こうして4人パーティーになった俺たちは出発した。
俺が前衛の右側、ミーコが左側、モッキュを抱いたチェイミーが後ろをついてくる形だ。
モッキュとチェイミーは、他愛もない話をしてる。
2人でケラケラと笑ってる。
ミーコが後ろをチラッと見た。
2人を咎めるのかと思ったら、今度は俺を見て唇の片方の端を吊り上げた。
もしかして今のは…。
笑ったのか?
「チェイミーのあんな顔は久しぶりだよ」
ミーコが言った。
「あの娘の父親は2ヵ月前に死んだ。あの娘の目の前で」
そうだったのか…。
俺は何も言えなかった。
20分、進んだところで「しーっ」
ミーコがモッキュとチェイミーに黙るように指示した。
俺もミーコと、ほとんど同時に気づいた。
前方の、やや広いスペース。
何本かの通路の分岐になってる部分に、複数のかがり火。
俺たちはライトを消して物陰に隠れた。
「モッキュ」
俺の合図で、モッキュが背中のバックパックから遠距離が見えるスコープを取り出した。
それを受け取った俺が、かがり火の辺りを覗いてみると…居る居る。
ガスマスクたちだ。
8…9…全部で10人。
前に倒した奴らと同じ、お粗末な槍を持ってる。
「見せて」
ミーコが手を出す。
俺は、スコープを渡した。
「奴らのマスク。ガスを防ぐだけのタイプだね」
なるほど。
ミーコの言葉で俺はピンときた。
ということは、ミーコはあれを持ってるんだな。
「あんたたちはここに居な」
ミーコがモッキュにスコープを投げ渡しながら言った。
俺に目配せしてくる。
俺は大口径ハンドガンを構えて、ミーコと2人で慎重に前進した。
遮蔽物に身を隠してガスマスクたちに見えないコースで接近する。
ミーコの身のこなしは軽い。
まるで猫だ。
本格的な軍事訓練を受けたのか?
彼女の戦闘レベルは、そこそこ良い線をいっている。
俺にはすぐ分かった。
もちろん、俺のレベルとは程遠いけれど。
まあ、俺はハイブリッドソルジャーだから強いのは当たり前。
ある程度の距離まで進むと、ミーコが止まった。




