18
ミーコとチェイミーはシュトレル星の人間だった。
生まれてからずっと、ザホーン帝国が作り出した「コロッセオ」の中で生きてきたわけだ。
とりあえず俺は、その真実を彼女たちに話すのはやめた。
今、出会ったばかりの得体の知れない奴にそんなこと言われても、ヤクをキメてラリってると思われるのがオチだろう。
どうやら、彼女たちは昔あった「でかい戦争」なるもので世界は「こうなってしまった」と思ってるみたいだ。
ミーコは宇宙港の存在や外の星から来る者が居ることは知っていた。
ただ、宇宙港の近辺はザホーンの監視が厳しく攻撃されるので、あまり詳しくないらしい。
俺はモッキュと共に他の星から来たこと、メルタックを追っていることを正直にミーコに告げた。
「奴はこの鉱山のどこかに隠れてる」
「ふーん」
ミーコは、興味無さ気だった。
この女、とにかくすごく落ち着いてる。
「じゃあ、あのガスマスクたちはメルタックの手下なんだね」
ミーコが言った。
「襲われたのか?」
俺の言葉にミーコは頷いた。
「あたしたちは坑道の最深部にある『端末』を探してる」
「端末」というのは、機能を制限されたコンピューターのことらしい。
ザホーン帝国はシュトレル人に本当に便利なものは与えない。
おそらく現地人同士を激しく争わせるための仕掛けのひとつだろう。
「秘密のパスワードが隠されてる」
ミーコが言った。
無表情だ。
嘘か本当かは分からない。
「奥に行きたいという点であたしたちとそっちの目的は一致する。どう、一時的に組んでみない?」
うーん。
てか…。
俺は初めて遭ってから、今までずっとチェイミーに捕まってるモッキュを見た。
チェイミーのほっぺたに圧迫されて、顔が「ググッ」ってなってる。
「あはは!!」
ウケてる俺を見て、ミーコが呆れ顔になった。
「そうだね。チェイミーがモッキュを離しそうにないし。ここは自動的に共闘成立か」とミーコ。
俺は笑いながら、サムズアップした。




