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俺は大口径ハンドガンを撃たない。
というか…撃てなかった。
何故ならモッキュに抱きついて大喜びしてるその人影が、俺と同い年くらいの、栗毛のそばかす顔の女の子だったからだ。
ツナギの作業着姿。
「ああ…ああ…」
モッキュが女の子に頬っぺをグイグイされてる。
むぐぐ。
ジェラシー!
「かわいい! かわいい!」と女の子。
ああ、モッキュはかわいい。
宇宙一、かわいい。
そんなの知ってる!!
奥の部屋から、もうひとつの人影が出てきた。
今度は俺より、少し年上かな?
スラッとしたナイスバディの女だ。
赤のタンクトップに軍用のゆったりとしたボトムス。
ショートカットで、頭にゴーグルをかけてる。
俺と似た、あっさりとした顔立ち。
切れ長の眼がクールな美人だ。
背中にはリュックを背負っている。
右手のハンドガンの銃口は俺に。
もちろん、俺の銃は女に向いてる。
「チェイミー」
女があきれた様子で言った。
「チェイミー」は女の子の名前だな。
「かんべんして」
女がため息をつく。
女の視線がチェイミーから俺に移った。
「まだあたしを撃たないってことは、そっちも撃ち合いをしたいわけじゃなさそうだね」と女。
俺は先に銃を下げた。
もし、女の指が引き金を引く動作をしたら、その瞬間にブーストONして、手首ごと吹っ飛ばしてやる。
女も銃を下ろした。
「チェイミーちゃん…ああ…ああ…ボクはモッキュ、よろしくね」
「うん、モッキュ」
チェイミーがモッキュを抱き上げた。
モッキュが俺を指差す。
「こちらはボクのパートナー、ジローだよ」
チェイミーが俺に会釈した。
俺は女のほうを、じっと見る。
女が首をすくめた。
また、ため息をつく。
「あたしはミーコ」
ミーコと目が合った。
「よろしく」
ミーコが言った。




