13
惑星シュトレルの軌道上にあるザホーン帝国の宇宙ステーションに俺たちは到着した。
俺は…割愛!!
身元確認を済ませた後に、ザホーンの検査官が、俺とモッキュの耳たぶに小さなカプセルを埋め込む。
このカプセルが、シュトレル人とそれ以外を区別する。
あらかじめ当人をスキャンしたデータが入ってるので、たとえ、このカプセルだけを取り出して現地人が旅行者を装い「コロッセオ」から脱走しようとしても、すぐにバレてしまう。
続いて持ち物チェック。
ハイスペックな武器やアイテムは取り上げられた。
ザホーン帝国は現地人たちの戦闘力を管理してる。
自分たちより強くなると困るからだ。
だから、旅行者から現地人に武器が渡るのを恐れてる。
人間そっくりなアンドロイドを投入して、現地人同士の争いを誘発もするらしい。
本当に最低な奴らだ。
入星許可の下りた俺たちは小型艇に乗って、シュトレルのいくつかある宇宙港のひとつに移動した。
港はシュトレル人が万一、襲ってきてもビクともしない要塞になってる。
コンバットゾーンに入る者はザホーン帝国の認めた装備を、ここで購入することも可能だ。
俺とモッキュはバギーを買い、それに乗って港のゲートから外へと走りだした。
どんよりとした空。
草1本、生えてない果てしなき荒野。
時々、スクラップが落ちてる程度で動くものは何もない。
シュトレル人たちは凶暴な奴らも多いらしいから、目的地に着くまでは出会わないのが良いかも。
情報屋から聞いた有力情報だと、賞金首メルタックは、このまま3時間ほど走った先にある鉱山跡に潜んでる。
俺たちは観光客じゃないし、だいたいシュトレルには風が吹き荒ぶ岩と山と荒野しかないから寄り道する理由は全くないので、とにかくバギーを猛スピードでぶっ飛ばす。
砂ぼこりが顔に当たる。
口に入った。
ベッ、ベッ。
隣のモッキュを見ると、バンダナを口元に巻いて大昔の山賊みたいになってる。
顔の上半分は砂ぼこりで真っ白。
「アハハッ」
俺は我慢出来ずに爆笑した。
また、砂が口に入った。
ベッ、ベッ。
「アハハッ!」
今度はモッキュが笑う。
モッキュ、殺す!




