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俺はジロー。
今、宇宙船内に居る。
ブリーフィングルームという建前のリラックスルーム。
「ジロー隊員」とモッキュ。
「はっ」
敬礼する俺。
「今回の作戦の説明をしてくれたまえ…アハハッ!」
モッキュが、こらえきれずに笑いだす。
俺はソファーに寝転がってるモッキュにクッションを投げつけた。
「アハハッ!ごめん、ジロー」
まだ笑ってる。
「こらっ!!」
俺もソファーにダイブ!
モッキュに抱きついた!
モッキュ!
モッキュ!
「ああ…ああ…ジロー、作戦、作戦」
ちぇー。
仕方ないなー。
俺はモッキュを抱っこして、ソファーに座り直した。
「今回のターゲットは凶悪犯だ。名前はメルタック。20年前からテロリストとして活動してる爆弾魔。1000人以上殺してる」
「ひどい奴…だね」
「あれ? どした、モッキュ?」
「あ。ううん…何でもない」
モッキュが首を振る。
何か変だな。
モッキュは、たまにこういう雰囲気になる。
悩み事かな?
前に何度か訊いてみたけど、いつもモッキュは答えない。
俺にも言えないことがあるのか…。
まあ、俺だってモッキュに言ってないことは、いろいろある。
モッキュの全てを知りたいと思っても無理矢理は良くない。
そんなの愛じゃない。
「ジロー?」
「あ…うん。で、メルタックはこの1年、行方をくらませてた。だけど、ある情報筋から惑星シュトレルに潜伏してることが分かったんだ」
「そか。どんな星なの?」
「ザホーン帝国に支配されてる星のひとつ、別名『コロッセオ』」
「何それ?」
「大昔の娯楽。奴隷同士を戦わせて観客が喜ぶ。それを一個の惑星全体規模でやり続けてる」
「ひどい」
「そう、ひどい。シュトレルの人たちは自分たちの状況もよく理解しないままに、毎日、サバイバルしてる様子を勝手に放送されてる。ザホーン帝国国民のガス抜きだよ」




