想いは届かない
プロローグなので
2話から進行
助けてくれー!!誰か!母さん!!
父さん!!誰でもいいから助けてくれー!!
うぁーーー!!ぁーーーっ!!
あぁ、また誰かが助けを求めている
頭の中で叫んでいる。
俺は、大谷 勇介 高校二年生だ
でも、俺は昔から変わった能力?がある
それは、誰かの助け…言わば心の叫び
人間は、死ぬ前に必ず心の中で助けを
求める。どんなに未練がなくても、
どんなに覚悟を決めても、死ぬ前に
一瞬だけ…死にたくないと思ってしまう
その叫びを聞き取ることができる能力?が
幼少期から備わっていた。
その叫びは、誰の叫びなのかまでは
分からない。でも、叫んだ位置…つまり
その人の位置は脳に表示される。
これは、神のいたずらなのか分からない
そして、今日もまた誰か助けを求めている
今日は、兵庫県の男性の叫びだ
行っても間に合わない。行っても救えない
そう、なにもできないのだから
幼馴染一人すら助けられないのだから
2年前
助けてっ…勇介…
はっ!今のは幼馴染の舞の叫び
なにがあったんだ!!
今すぐに行かなきゃ!位置は学校
電車で30分、急げば間に合う!!
『舞ーーーっ!!』
屋上に舞がいた!!
舞は可愛いのに昔からよく虐められていた
恐らく、自殺するつもりだ
『舞!!待ってくれ、死ぬな!!』
柵を飛び越えて右手を出せば間に合う
スカッ…(空を切る音)
『勇介…ありがとう…』
『あああああーー!!!!!ま、まーいー
がぁーーーーー!!!!』
舞は、落ちていく。段々小さくなって
グシャッ…(潰れる音)
『うあーーーわーー!!!あ、あ、あー
何一つ守れない…幼馴染一人
救えない…なにが能力だ!なんも役に
立たない!!いや、俺という人間自体が
クソなんだ!幼馴染が虐められてるのに
自分は、なにもしないで!!
屑だ!クソだ!アホだ!馬鹿だ!
・・・ごめんなー…舞』
この出来事から俺はこの能力?が誰かに
知られるのを怖がってしまった。