試し書き
4
「さぁ、〇〇〇〇!早速侵略しに行くわよ!!」
朝から扉を蹴り飛ばすような勢いで部屋に入ってきて、いきなりそんなことを言われた俺がめんどくさそうな顔をしてしまったのは、しょうがないと思うんだ。うん。
結局昨日は解散した後に、しっかりと夜まで身体検査や、前魔王の力を受け継いだことで何か体に異常が無いかの検査をしてもらったのだが、特に異常は無く、ひとまず安心らしい。ただ、まだ全力を出すと肉体の方がもたないらしいので、しばらくはいつも以上に力を抜いて生活してくださいと言われた。それはさておき。
「いきなりなんだよ? 侵略?」
そう言って首をかしげる俺に彼女はこう言った。
「そうよ!お父様の力を受け継いだあなたならちょちょいのちょいよ!」
「ちょちょいのちょいって……でも、力だけで支配したら後々めんどくさくないか?」
「例えば?」
「例えば、支配した所同士が協力して抵抗されるとか、敵対してる所にこっちの情報が漏れるとか、最悪、俺らがやられそうなときに敵に味方するだろ。」
「……そこまで考えてなかったわ」
「後、ぶっちゃけめんどくさい」
「本当にぶっちゃけたわね!」
「て言うか、大体なんで侵略する必要があるんだ?」
「そりゃあ、領土とか欲しいし、代々の魔王の使命みたいなものよ!」
「そんなに領土いるのか?」
「ぶっちゃけいらないわね」
「ぶっちゃけたなー」
「まぁ、代々の魔王がやって来たことだから何となくかな、後、魔王って言ったら侵略じゃない?」
「……まぁ、確かに魔王と言ったら侵略だなー」
「でしょでしょ!だったら今すぐレッツ魔王!」
「だが断る!!」
「な、何でよ!」
「さっきも言っただろ、めんどくさい」
俺はもう一度布団をかぶり二度寝をしようとするが。
「じゃあ、侵略はひとまず置いといて、今日はこの世界について勉強してもらうわよ」
と〇〇〇〇が言い、少し気になって聞き返す。
「この世界について?」
「そうよ、例えばお金についてだったり、種族だったり、魔法なんかもあるわね。」
そのラノベでよく聞くワードが出てきて俺は自分でも分かるぐらいにテンションが上がりつつ
「し、仕方ないから、き、聞いてやるよ!」
と若干ツンデレっぽく了承したのだった。