試し書き
2
ここは魔王の間、代々の魔王達の己の力と財力によって建てられた魔王城の最深部。
そこでは魔王と勇者の戦いが終わろうとしていた、激しい攻防が続きお互いの攻撃が当たっていく。
次の瞬間!
二人の攻撃が同時に当たり、魔王と勇者は崩れ落ちるようにして倒れていった。
その戦いを見守っていた魔王の娘と魔王の補佐官、勇者の仲間達は、お互いを牽制しつつその体を抱えあげ距離をとり、勇者達はそのまま撤退、魔王達はそれを見逃し、魔王は最後の言葉を喋り出す。
「愛しき我が娘よ……最後の願いだ…… 我の亡骸を使い……新たなる……魔王…を…呼ぶの…だ」
「お父様!お父様!!」
魔王の娘は魔王に抱きつき、魔王はその生涯に幕を閉じたのだった。
「お嬢様、魔王様は既に亡くなっておられます」
「……分かって……いるわ」
「でしたら、魔王様の最後の願いを叶えに行きましょう」
「もう少し!……もう少しだけこのままにしておいてほしいの」
「………仕方有りませんね、ただし、魔王様の魔力が残っているうちに召喚してしまわないといけないので、本当に、後少しですよ」
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そこは召喚の間、床一面に魔方陣が描かれ、その中央には魔王の亡骸があった。
「お嬢様、召喚の儀の用意ができましたので、召喚魔法をお願い致します」
「…分かったわ……」
召喚魔法が始まり魔方陣が輝き出す、その輝きが一際輝き、次の瞬間には既に魔王の亡骸は無く、その代わりに一人の男が眠っていた。
「彼が次世代の魔王…………」