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女子高生禁断の秘蜜

作者:

 木々の隙間から太陽の光が照り付けている。

 理香は額に汗の玉を作りながら、目の前の一点を身じろぎもせず見つめている。

 薄暗く陰になったその奥。熱を持った視線の先には鈍く光を反射する蜜。

 薄い唇は少し荒くなった吐気を逃がそうと少し開き、猫のようといわれる瞳は一点に固定したまま動かない。

 理香は気付かないうちに、膨らみかけた自分の胸へと手をやっていた。

 何かを静めるように深呼吸を二、三回繰り返す。

 胸の動きが落ち着いてきた理香は、華奢な手を蜜に向かって伸ばそうとする。

 ゆっくりと伸びていく手が、少し震える指の先が蜜に触れる。


 ぬちゃり


 ねっとりとした感触が指先から伝わってくる。その感触に理香の体が少し痙攣した。

 一瞬息を止めた理香が指に蜜を絡ませようとする。しかしその指は背後からの音と共に動きを止めた。

 振り向いた理香が見たのは迫ってくる黒い影。

 とっさに逃げようとした理香、しかし足は意思に反して動こうとしない。

 肉体と精神が解離して動けない理香を黒い影が襲う。

「やだっ、いやっ!」

 黒い影は理香の制服の隙間から容赦なく侵入してくる。

 為す術もなくただ立ち尽くす理香の身体に、黒い影の武器が差し込まれた。

「痛、痛い!」

 理香の叫びがざわめく緑の合間を風と共に駆け抜けていく。

 少女の悲鳴はどこにもたどり着く事無く木々の狭間に消えていった。


 太陽は赤く傾き山の陰に隠れようとしている。

 理香は泣きながら一人道を歩いていた。

 大きな田舎の一軒家に辿り着いた理香は、その前で立ちすくむ。

「理香……? どうしたのその顔は」

 家から理香と雰囲気の似た女性が現れて理香に近づいてきた。

「お母さん、私、私……」

 理香の目から涙が溢れる。お母さんと呼ばれた女性は理香の様子を見て、全てを悟った。

「もう、だから勝手に巣箱に近づいちゃ駄目って言ってるでしょ」

「だって……だって蜂蜜……欲しかったんだもん」

 母親が呆れた様子で理香を見る。

「今度からネットくらいかぶっていきなさい」

「……うん」

 理香の肌のように赤く熱を孕んだ太陽は西の地平線に追いやられ、世界は静かな夜を迎えようとしていた。

ごめんなさい

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― 新着の感想 ―
[一言] 助けに来た人がお母さんじゃなくて友達の男の子だったりすると、良い恋愛ものになりそうな気が(独り言 題名から想像したものとの内容の誤差……私が愚者なだけです。ごめんなさい。 これからもがんば…
2008/01/14 21:49 退会済み
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