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プロローグ

お久しぶりです。


文を直しても短くなるどころかどんどん長くなっていくわ、題名本気でどうしようって考えて考えて・・・

もしかしたら、変えるかもしれませんがとりあえずはって事でお願いします。




重厚な石畳みに歴史を刻んでいる美しい街並み、美しいと思っていた僕の住むこの街並みも今だけはとても色あせて見える。

嫌味なくらい青く澄んだ空を見上げて、僕は鬱々としているのか苛々しているのか自分自身でもわからぬままあてもなく街を彷徨っていた。


「・・・」


家を出たのは薄暗くなっていたように思う、最早時間の感覚など一切ないのだが・・・それでも、1日以上が経っているだろうという事だけは理解している。


ただし、僕の脳内理解はそれだけだ。


「・・・っ」


周りを見渡せば、この国の者に旅行者と思わしき者・・・みんながみんな馬鹿みたいに笑って楽しそうにしている。

今まではそんな光景にも微笑ましく、心休まる思いだったのに何で僕はこんなにも荒んでいるのだろう。


「・・・ぁ・・だ」


暫く立ち止まっていたが、ギュッと拳を握りしめてまたあてもなく足を進める。

普段なら1人で家を出るだなんてこと許されないのだが、今の我が家は上から下への大騒ぎで僕のことなど視界の隅にも残ってはいないだろう。

それ以前に家族の大半が寝込んでいる今では、僕の心配をしているというよりも、僕が家を抜け出したことすら気が付いていないだろう。


「おっと・・悪いな、ぼー・・・お、おい?!大丈夫か?!」

「・・・」


誰かと肩がぶつかってよろめくが、僕は構わず歩き続ける。


「きゃっ!僕、如何したの?!酷い顔色よ!!」

「・・・」


誰かの叫び声がする気がしたが、今の僕の眼には何も映らない。

頭がガンガンと痛い。目の前が歪んで見えるのに、それでも僕は進み続けていた。


「・・いか・・なきゃ・・」


どこに?頭の奥でそんな声が聞こえた気がしたが、行かないといけないとそんな分からない意地の様な物だけが僕の足を進ませた。

何が僕をそんな思いにさせるのか。そんな自問自答にさえも、明確な答えなど朦朧とした頭で分かる筈なんてない。


頭の中でグルグルと回っているのは、僕が家を飛び出してしまったあの事。


『あぁ、勝手な事言って悪いけどさ。もう決めたことだから』

『『『『は?!』』』』

『え?軽く言ってるけどさぁ・・・結構真剣よ?』


誰よりも尊敬してた。あの人しかいないって思ってた。


『俺の代わりはどっちでもいいよ~。代わりっていうか、俺が中継ぎみたいだった様なもんだろ?ま、どっちも俺の大切で信頼のおける可愛い弟だしさ。信用してるからな』

『お、お兄様?!』

『兄様!いったいどうしたのですか?!』


真面目で家族思いの優しい兄が、急に変わってしまったこの事実に僕ら家族はまるで頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。

誰も言葉を発せる事すらできない。常に厳格だったあの祖母までもが、兄の変わり様に目を見開いて驚いている。


『なんでも俺の後ろをついて来てさ、俺のやることをやりたがった可愛い二人が俺と一緒の学を学んでくれていてよかったよ』


それ以上、何も言わないで・・・ヤメテクダサイ・・・


『これでも深刻に何度も悩んだんだよ。期待は裏切りたくないし、俺の・・自分の立場だってみんなが思っている以上に理解してるつもりだ』


もうやめて、聞きたくない・・!


『仕事は楽しいし、やりがいだってある。俺が継いだ後の事だって考えていたさ。だけど、立場的にさ。本当に父上の後を継ぐにしたって、一番重要なことがさ。俺・・・どうしても無理なんだって思ったんだ』


誰か・・


『彼女の事は可愛いと思うよ?愛おしいと思うし綺麗だとも思うんだけどさ・・・』


誰か・・


『婚約者に対する気持ちって、妹以上に思えないんだ。立場的に薬を使ってでもって思うし、何度か試してみたけど・・・立たないんだよ!気持ち悪くて女を抱きたいって思わないんだ』


これは夢だと言ってくれ・・・!!!


『前に言ったじゃん。俺の―――・・・―――だってさ、だから俺―――・・・』




初めて見る・・・とても、とても悲しそうに笑う優しくて大切な兄様が、ここまで悩んでいたことに僕は今まで一度も考えもしなかった。

目を閉じようとすると脳裏に映るあの美しくも儚げな兄が現れる。それが無性に責められているようで・・・。


「あ・・・あぁ、あ・・・にぃさ・・」


兄様はそんなこと言わないって分かっているのに、頭に響く声は虚空の兄様の僕を攻め続ける罵倒の言葉、言葉の刃・・・。


嫌だ・・・違う・・違うんだ・・


「にぃさ、ま・・・兄様・・・ごめ、なさ」


苦しい。頭が、胸が、心が・・・。


「ぅ・・-----------っ!!」


頭を抱えるように、声にならない叫びをあげた僕は、目の前が暗くなる直前・・・天使の姿を見た気がした。




はい、お気づきの方もいるかもしれませんが・・・


今まで名前だけ出ていたあの彼です。


ちょっと、というか・・かなり?長くなってしまう感じだったので取りあえずのプロローグです。

本当は他のみんなと同じくらいに纏めるつもりだったのに、何故だろう?

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