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……緒戦、終わって
ヘリヤ視点です。
「見た目は、筋肉がムキムキのおじいちゃんだけれど、そんなに怖くなかったでしょ?」
「こ、怖かったぁ。『閣下』はだめって言われても、将軍閣下の名前なんて恐れ多くて聞けないし、話しかけられるたびに怖くて怖くて……。しまいには『教官殿』って、とっても不機嫌な声で呼ばれて……」
てっきり父の名を知っていると思っていたので、伝え忘れていた。
名前よりも『鬼将軍』の名のほうがずっと有名だ。
声が震えているし、目からは今にも涙が溢れ出しそうだ。
「『教官殿』は、家族や部下の名前以外女性の名前を呼んだことないから、照れてるのよ。とりあえず、父さんには威圧しないように言っとくから、もう一回だけがんばってみない?」