死後四日目2
部屋を模様替えすると気分も変わるらしいですね(笑)
手掛かりを手に入れた二人
これで『報復屋』のやり口が分かる
「そろそろ昼になる予定だ」
アキの兄が言う。
「予定じゃなくてもなるよねぇ!」
「どうした妹よ。腹が減ったのか」
「違うよ。いや正しいよ」
「妹じゃないって事か?」
「私はお兄ちゃんの妹だ。下らない事言うなよ」
アキは不機嫌だ。
それもそうだ、ソウタの事が分かるだろう小説を見ていたら、その数十分後に小説が公開中止になった。
何故このタイミングなのかは分からないが気分は良くない。
「……あと少しだしサッサと終わらせるか」
このお兄さん真面目に喋る時は口ごもるみたいだ。
十二時を少し過ぎた位に部屋の模様替えは終わり、空っぽの部屋が高校生らしい部屋に変わった。
アキのお兄さんは用事があると言う事で、終わるとすぐに帰宅した。
俺達の昼食はカップラーメン。
それが出来るまで俺はアキと話する。
「何で、このタイミングで見れなくなるんだよ。策略しか感じないよ」
ご機嫌斜めな彼女。
「お兄さんも殆ど覚えてないって言ってたから困ったよ」
「使えないー」
アキは割り箸を指で器用に回す。
「とりあえずしっかり解っているのは主人公『サトウ』がいじめっ子に制裁を下す話って事だよ」
「アイツが小説と同じ事してるのはわかるが」
「おそらく違うよ。逆、彼と同じ事を小説にしているんだよ」
アキは首を傾げた。
「あいつの名前はソウタだよね」
「確かそうだと思ったけど」
「SATOUでサトウ」
彼女は頷く。
「SOUTAでソウタだ」
彼女はぎこちなく頷く。
俺はめくっていなかったカレンダーの表紙を取り、裏返した。
それにペンで
12345
SATOU
SOUTA
14532
と書いて指で説明してあげた。
「アナグラムってやつだよ。文字を並び替えて別の文字にする事」
「すごいよ。そんなの一発で分かるなんて」
彼女にそう言われて悪い気分はしない。
「彼の名前は本名だろうから、彼の名前を使ってる可能性が高いよ」
「だけどアイツがしているって事を知ってる奴なんて私たちぐらいだろ?」
アキは「誰が書いてるのか?」と聞いているのだろう。
「おそらく書いているのは彼、ソウタだよ」
自分の『報復屋』は公開中止にはしないですよ(笑)