死後四日目 日曜日
あくまでもフィクションです。
何故こんな事をしているのだろう。
部屋に机を運んで。
ベッドを運んで。
なぜかテレビゲーム機やテレビも置かれている。
「満足」
初対面の彼が言う。
「こういう事お兄ちゃん好きだからね。頼めばやってくれるから楽だよ」
俺に耳打ちをするアキ。
頼んでないよ。
「本当にいいのか?」
アキが首を傾げる。
ちょっと唐突過ぎたか。
「これ全部貰って」
何もなかった俺の部屋は充分過ぎるほどの家具が置かれている。
全てアキの兄の所有物らしい。
「別にいいよ。ゴミにするのは勿体ないし。リサイクルショップ持って行っても金にならないしね」
壁に寄りかかって携帯片手に答えるお兄さん。
「何か見てるの?」
アキが聞く。
「携帯の画面」
即答。
「そう言う事じゃない」
彼女は「もう」と溜め息をつく。
「……携帯小説」
「どんな内容」
お兄さんは答えない。
答えにくい内容なのか。
「ボケが浮かばないなら、普通に答えろよ」
「……学園物でいじめっ子に仕返しする感じの話」
ボケを考えていたのか。
「どういう風に仕返しする話ですか?」
彼は携帯を下ろしてこちらを見た。
「……やられた事をやり返すって感じかな」
「例えば服を脱がされるとかのいじめられたらどうするのです?」
アキの方を見た。
彼女は目を伏せる。
「臭い水をかけて自分から脱がせるようにしてたね。……読んでる?」
「いえ」
首を横に振る。
「……いじめられっ子?」
「いいえ。だがいじめで友人が困っているので参考にと」
それを聞いたお兄さんはこちら睨みつけて来た。
「この小説の真似はするな。物語だから許されてるだけだ。サトウはそれで友人が助けられて毎回ハッピーエンドになっているが」
一瞬間を置いて彼は断言した。
「現実でそんな事やり続けたら本当の友人など出来ない。待つのは不幸だ」
静かな俺の部屋になる。
「分かりました」
俺は彼の目を見て言う。
「あとサトウってのは主人公の名前な」
笑顔で言うお兄さん。
「すみません。その小説のサイト教えてくれないですか?」
「いいよ」
彼は携帯電話をいじる。
すると「メ~ルだメェ~」と言う声が聞こえてきた。
アキの携帯電話だ。
「送ってやれ」
「分かってるって」
今度はアキが携帯電話をいじる。
俺は携帯電話を取る。
メールが来たが、俺のは鳴らない。
さっそくそのサイトを開いた。
「お兄ちゃん。その小説の題名って何?」
「『報復屋』だ」
報復屋のやり方に近づく二人。
チャボはどうなったのか。
乞うご期待。