死後三日目2
安定して投稿は出来ていますので良ければ毎週読んでください
携帯電話の画面に1時26分と出ている。
そろそろアキと約束した時間になる。
だが俺は待ち合わせ場所にはいないし、向かってもいない。
当たり前だ。
俺は待ち合わせ場所に行くつもりなんて無いから。
俺も、の間違いだ。
「どうしたの?」
俺の隣にいるアキが俺の顔色を窺っている。
「どうしたの?」
アキが左腕にしがみついてきた。
邪魔だ。
「邪魔?」
心配そうに聞いてくる彼女。
言ってないよ。
思ってもいないよ。
アキの事は。
「そんなにベタベタしたら逆に嫌がられるんじゃないか?」
「邪魔」
アキが彼にキッパリ言い放つ。
何故か待ち合わせ場所にアキと一緒にいた彼。
クラスメイトをほとんど覚えていない俺でも、そいつを覚えていた。
通称『チャボ』
俺が一番嫌いな生徒だ。
そんなのと一緒にいるせいで気分悪い。
「酷いな。アキやん」
彼はヘラヘラと笑っている。
「チャボと違って甘くないから」
アキは冷たく言い放つ。
「なにそれ~」
何がツボなのかわからないがチャボは笑っている。
「僕とアキやんの仲だろ~」
しつこいしうざいな。
「ただの幼なじみじゃねーか」
彼女が言葉と蹴りを放つ。
……俺は不機嫌なのか?
しかも何か安堵した部分があるが、分からない。
「何か美味しそうな匂いしない?」
アキがそんな事を言った。
確かに甘い匂いがする。
見回すと行列とクレープ屋があった。
「あのクレープ屋だ。
いつも混んでるよな」
「僕が思うに吹き抜けになっているから匂いが広がるからだろう」
「誰もそんな考え聞いてねーよ」
アキは再び蹴りをチャボに入れる。
上を見ると二階の通路と二階の天井が見える。
「混んでるから後でだなー」
チャボは近くにあった大きな立て看板に寄りかかった。
「え?」
看板がこちらに倒れてきた。
「アキ!」
看板が倒れる音。
ガラスが割れる音。
悲鳴。
「いてぇ……悪い……」
チャボの声が聞こえる。
「いてぇじゃねーわ。馬鹿がぁ!」
目の前のアキが怒鳴る。
……?
「……?」
俺もアキと同じような表情しているだろう。
無意識にアキを庇ったのか俺は。
アキを押し倒すような形で看板の下敷きになっていた。
「面白い事になってるわ」
後ろからチャボの声とガラスが床に落ちる音が聞こえ、背中が軽くなった。
次に聞こえた音はシャッター音。
「何が面白い事だ!」
アキが俺をどけて怒鳴る。
「言っていいのかい?」
チャボの笑い声が聞こえる。
起き上がり振り向くと走るチャボとそれを追う背中が見えた。
不愉快だ。
帰るか。
俺もその場を逃げるように足を動かした。
俺は生徒『チャボ』がより嫌いになった。
自分はクレープは生クリーム、チョコ派です
それとこれの投稿日は4月5日ですが特に意味は無いですよ