チャボ
ゆったりと書いてますが
気長に読んで貰えると嬉しいです
ショッピングモールの南側にあるテラスにアキラが一人で座っている。
「私が悪い……んだよなぁ」
溜め息と独り言が出る。
目の前にあるパフェが美味しくない。
アイツとはデートは出来たけど……。
私のイメージするデートとは程遠いし……。
アイツに好かれるには……いや、そんな資格なんて私に無いのに……。
溜め息が出る。
「暗いね。アキやん」
後ろから急に声をかけられた。
驚いたのは秘密だ。
声の主は見なくても分かる。
「何? チャボ」
彼は向かいの席に座る。
「ミドリはどうした?」
ミドリは私の幼なじみ。
「今日は一緒じゃない」
「………………残念」
落胆し過ぎだ。
「目障りだから消えてくれない?」
「アイツとのデートの邪魔だからだろ?」
パフェを倒しそうになった。
「何の事かな?」
「知らないけど、独り言で言ってたから」
……無意識に言っていたのか。
私は。
「アイツって誰」
楽しげに聞いてくるチャボ。
「教えて意味ある?」
「無いよ」
満面の笑み。
「なら教える訳無いだろ」
「じゃあミドリの好みの男性は?」
パフェがより不味くなった。
「何度、私に聞くんだよ。チャボが」
毎回、毎回その質問してくるなよ。
「チャボ……と言うか鳥はそこまで馬鹿じゃない」
鳥を庇ってどうするんだよ。
「何でお前はあんな女がいいんだよ?」
スプーンでチャボを指す。
「己の方が上って思ってるのか?」
「そういう訳じゃねーよ」
私はスプーンでパフェを口に運ぶ。
「自覚無いのか? アキやんの方が上だろ?」
むせた。
「馬鹿にしてんの?」
「真面目だよ。お淑やかさとか、見た目の可愛さは負けるが、総合的にアキやんが上。僕の見解では」
チャボとは言え、そう言われて悪い気はしない。
「……なら何でお前はミドリが好きなんだ?」
「性格悪いから。メガネだから」
ハッキリ言われた。
「初めて聞いた」
「初めて言ったから」
そうかい。
「なんでここにいる?」
沈黙。
「私に言っているのか?」
「そうだが……あれ?」
チャボは首を傾げた。
「何がだ?」
「アキやんって私って言っていたっけ?」
また沈黙。
「確かに私は……俺だった」
いつから変わったの?
私は。
チャボ
鶏のです
あだ名なんて適当であり雑でもある
そんな物でしょう?