朝鮮民主主義人民共和国(1945年成立) と中華人民共和国(東北部・1945年末成立) の成立過程
◆前提:なぜ 1945年に成立するのか?
• 日本が連合国入り(1945年5月)
• 釜山以外の朝鮮半島・満州はソ連軍の実効支配下
• ソ連は日本の欧米接近に強い危機感
• 独ソ戦は膠着中であり、極東で確実な安全保障地帯が必要
• 日本軍は釜山に孤立し、奪還の可能性は低い
• 中国国民党政権は戦力低下しており、満州を維持できない
結果、スターリンは
「東欧と同じことを極東で行う」
方針に切り替え、徹底した衛星国形成に踏み込む。
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◆ 1. 朝鮮民主主義人民共和国の成立(1945年8〜10月)
■A. ソ連軍による北朝鮮の完全掌握
• 1939〜41年の日ソ戦で、満州・北朝鮮の主要都市はすでにソ連の占領下
• 朝鮮北部にはソ連が直接統治する軍政庁が設置
• 金日成を中心とする朝鮮人共産勢力(抗日パルチザン)を保護・育成
■B. 日本の連合国入りが決定打
日本が英米陣営に加わり、ソ連の戦略環境は激変する。
• 日本=敵対陣営に加入
• 極東で日本が攻勢に転じる可能性が生まれる
• 釜山橋頭堡は危険な“西側の前線基地”になる恐れ
そのためスターリンは、
「朝鮮北部を即座にソ連式国家として固定化する」
ことを決断する。
■C. 1945年8月:朝鮮人民委員会の発足
ソ連軍政の指導下で、以下の組織が同時に設立される:
• 朝鮮人民軍準備委員会
• 朝鮮人民保安部(治安省)
• 土地改革委員会
• 労働組合中央局
ここに金日成を含む抗日パルチザン勢力が大量に流入。
■D. 1945年10月:朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)成立
ソ連軍政は形式的な人民代表大会を開催し、
朝鮮民主主義人民共和国 (KDPR) の成立を宣言。
• 最高人民会議議長:金日成
• 首相:金日成(兼任)
• ソ連軍は「安全保障協定」の名の下に継続駐留
• 重工業・軍需産業を満州と一体化させた“東アジア社会主義ブロック”の中核となる
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重要なのは、
史実より3年も早く北朝鮮が成立していること。
日本が欧米陣営に来た瞬間に、
ソ連は「緩衝地帯創設」を強行したという構図。
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◆ 2. 中華人民共和国(満州・東北)の成立(1945年末)
■A. 満州:完全なソ連軍政下に
1941年以来、満州はソ連軍による直接的軍政が続いていた。
• 関東軍は瓦解
• 中華民国政府は再進出できず
• ソ連軍は工業資源(撫順炭鉱・鞍山製鉄)を接収
• 日本人技術者は保護されるが監視下
■B. 中国共産党(東北局)への大量援助
ソ連は満州に以下の支援を実施:
• 武器供与(T-34、PPSh-41、迫撃砲、無線機等)
• 幹部教育(政治将校制度)
• 特務機関(NKVD)が組織編制を直接指導
• 朝鮮パルチザン部隊と中国共産党部隊の統合作業を実施
ここで形成されたのが、
“満州紅軍(東北人民軍)”
である。
■C. 日本の連合国入りにより建国が急がれる
ソ連の恐れ:
• 日本が連合国軍として満州奪還を図る可能性
• 米軍が満州の工業地帯を占領する可能性
• 中国国民党(蔣介石)が満州を奪回しようとする可能性
スターリンは東欧と同じ論理で、
「満州に共産政権を樹立し、ソ連の“社会主義バッファー”を確立する」
ことを決定。
■D. 1945年11〜12月:東北人民政府成立 → 中華人民共和国(東北)
12月、満州の長春で「人民代表大会」が開催され、
中華人民共和国(東北) を建国。
国家主席には、東北局の代表であった 毛沢東ではなく、劉少奇または林彪が主席に就任
する可能性が高い。
(毛沢東は中国内地で国共内戦の主導者となるため)
体制は:
• 一党独裁(中国共産党東北局)
• ソ連軍が安全保障を提供
• 中朝連合工業地帯(重工業・軍事産業)を形成
となり、
満州・北朝鮮が“ソ連の東方ブロック”として完成する。
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■満州建国が史実と決定的に違う点
• 史実では1949年に中華人民共和国が成立
• この世界線では 地域限定の“満州人民共和国”が1945年に成立
• 最初からソ連の衛星国家としてスタート
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◆ 3. ソ連が急いで建国した理由の核心
この世界線での最大のポイント:
★日本の連合国入り(=自由主義陣営の一員化)が、
ソ連に“極東版ヤルタ体制”を前倒しさせた。
• 日本は欧州に大軍を派遣
• 米英と同盟
• 日本海軍が大西洋で活動
• 日本が釜山橋頭堡を維持
→ ソ連から見れば
これは東アジアにおけるNATOの成立そのもの。
そのため:
ソ連は満州・朝鮮を「不可逆的に共産化」することで、
将来の日本・米国の逆襲を永久に封じようとする。
これが1945年に朝鮮・満州の“急造共産国家”が成立した理由。
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◆ 4. 結果:極東はヨーロッパと同じ「鉄のカーテン」状態に
1946年までに以下の構造が完成する:
• 西側:日本(釜山)、米英
• 東側:ソ連、朝鮮民主主義人民共和国、中華人民共和国(満州)
• 緩衝地帯:朝鮮半島南端(釜山)
事実上の 「極東冷戦」 が勃発し、
欧州と同じく「東西ブロックの対立」が双極化する。




