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「日本が連合国入りの交渉で提示した要求条件」 と「その条件を巡る日本国内の政治闘 争」

◆【 1】日本が提示した「連合国入りのための要求条件」

日本は敗戦国ではなく、“ソ連によって領土を奪われた国” であり、

英米との交渉は「同盟の条件交渉」という立場で臨める。

したがって要求はかなり強気で、以下の四本柱に整理される。

---

■ 第1条件:満州問題の再協議

日本は公式にはこう主張する。

「日本を大陸から追い出したのはソ連の侵略。

連合国側で参戦するなら、満州の将来は戦後会議で再協議すべき。」

日本が実際に求めた内容:

1. 満州をソ連の“既成事実化”から切り離す

2. 可能なら「満州国の復活」または「中立化」

3. 最低でも「国際管理」「連合国管理地域」にする

つまり “ソ連の単独支配を否定させる” ことが目的。

---

■ 第2条件:朝鮮半島南部(釜山周辺)の日本主権維持

日本は釜山橋頭堡を保持しているため、それを外交カードに使う。

「釜山は日本の合法的領域として戦後も保持する。」

ただしこれは英米にとっても都合が良い。

日本が釜山を保持すれば、朝鮮半島全域のソ連化が防げるため。

---

■ 第3条件:日本軍の独立行動権

日本側がもっとも強く要求したのがこれ。

1. 日本軍は“独立した指揮系統”を維持する

2. 欧州派兵があっても、統合司令部下ではなく「連合軍内の独立軍」として扱う

3. アジア方面での日本の軍事行動は英米に干渉されない

海軍はこれを強く主張し、

陸軍弱体化後の“国家主導権の確保”を狙った。

---

■ 第4条件:日本の国際的地位の回復

日本は自ら「敗戦国」ではないため、戦後秩序の中での地位保障を要求。

具体的には:

• 戦後国際秩序で日本の“大国”としての地位を確保

• 国際連合(もしくはその前身機関)での常任理事国入りを示唆

• 欧米による経済封鎖の再発禁止

• 中国問題の処理で日本の立場を尊重すること

英米も日本参戦を最優先するため、この条件には比較的柔軟に応じた。

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◆【 2】日本国内で起きた政治闘争

連合国入り交渉は、国内政治を揺さぶる大問題となる。

中心は 「日本陸軍の崩壊」 と

「海軍による実質的な政権掌握」 の二点。

---

■ 2-1. 陸軍の崩壊と政治的影響力の喪失

ノモンハン拡大→満州崩壊→朝鮮半島戦→釜山防衛

という流れで、陸軍は 国史上最大級の失敗 を犯した。

結果:

• 陸軍中央の威信は“壊滅的”

• 関東軍系統の中堅・若手の大量自決

• 参謀本部は事実上解体

• 政治に口出しする力を失う

陸軍は連合国入りには反対するが、

政治的影響力が失われているため止められない。

むしろ、

「ドイツと関係を続ける理由はもはや存在しない」

という声も出始める。

---

■ 2-2. 海軍の台頭:政府を「掌握」する

日本海軍は対ソ戦で唯一“勝っている軍”であるため、

国民の支持も圧倒的。

海軍内の主流派(米英協調派)が力を握り、

• 山本五十六系統(対英米協調派)

• 井上成美系統(国際協力派)

• 米内系統(穏健派)

が結集して「海軍政治連盟」のような勢力を形成する。

戦後の日本外交・軍事を海軍が主導する体制 が出来つつある。

海軍は外務省と連携し、

「英米と組んでソ連の膨張を阻止すべき」

と強硬に主張する。

---

■ 2-3. 政府内部:陸海軍・外務省・宮中の三つ巴

◆ 陸軍

• 連合国入り反対

• しかし統制力が弱く、反対しても止められない

• 一部の過激派がクーデターを画策するも未遂で終わる

◆ 海軍

• 主導権を完全に掌握し、

• 「日本は英米と協力してソ連に対抗すべき」という方針を押し通す

◆ 外務省

外交官の多くは元来親英米であり、

この状況を“国家再編の大好機”と捉える。

外務省内部では次のような意見が主流。

「日本は連合国入りし、戦後秩序の創設国になるべきだ。」

◆ 宮中(昭和天皇)

昭和天皇は、

“満州陥落”を陸軍の重大失敗と認識しており、

慎重ながらも英米との協調に賛成。

「ソ連の脅威を鑑みれば、英米との協力はやむを得ず。」

天皇の意向もあり、

陸軍は最終的に反対姿勢を軟化せざるを得なくなる。

---

■ 2-4. 国内世論:ソ連への憎悪と英米への好意的な空気

国内世論では

“ソ連が満州・朝鮮を奪った”

という怒りが支配的。

そのため

• 反ソ感情:急上昇

• 反米感情:ほぼ消滅(戦っていないため)

• 英国への親近感:歴史的に強い

結果、

「英米と手を組んでソ連に復讐すべき」

という世論が大きくなる。

政府としては非常に動きやすい環境となる。

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◆【 3】最終的な政治決着

1944年12月、

“日本の進路を決める四者会談” が開催される。

• 海軍高官

• 外務大臣

• 内大臣(宮中代表)

• 陸軍の代表者

ここで日本は、

「連合国側で戦うことに原則同意」

ただし満州問題の再協議を必須条件とする。

と結論を出す。

陸軍は不満だが、

もはや反対する力はなく、事実上黙認。

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◆【結論】

あなたの世界線では――

■ 日本の要求

• 満州問題の再協議

• 釜山の保持

• 日本軍の独立性維持

• 国際的地位の回復

■ 日本国内政治

• 陸軍=壊滅・反対する力なし

• 海軍=実質的な政権中枢

• 外務省=積極協調派で海軍と連携

• 宮中=慎重な賛成

• 世論=反ソ感情で英米寄り

という構造が完全に成立し、

日本は“自然に”連合国側へ傾斜していく。

---

日本の要求条件に対して、英米がどのように応じたか

◆【1】前提:英米は“日本の参戦が絶対に必要”な状態

ノルマンディ上陸作戦が大失敗し、

英米は以下の難題を抱えていた。

• 欧州再上陸に必要な地上兵力が不足

• ソ連がヴォルガで膠着し、東部戦線の突破が不可能

• ドイツが西部に強大な予備兵力を集中している

• 国内政治が大混乱(特に英国)

したがって英米は、

日本を引き込むためなら、ほとんどの要求に応じざるを得ない。

これが全体の流れを方向づける。

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◆【2】日本側要求①:満州問題の“戦後再協議”

日本の最大の要求は満州の扱いだった。

• 満州をソ連に奪われたままでは参戦できない

• 日本の国際的地位を回復させる象徴的課題

• ソ連の膨張を抑えたい英米にとっても有利な要求

▼ 英米の回答(1945年1月の極秘メモ)

英米はこの要求を事実上承認する。

ただし表現は非常に慎重で、次のようになる:

「満州の最終的地位は、戦後の国際会議で連合国全体により決定される。」

「ソ連が単独で領有することは認められない。」

これは実質的に日本側の勝利。

▼ なぜ英米は受け入れたのか?

• 西側はソ連が東アジアに巨大勢力圏を築くことを強く警戒

• 満州・北朝鮮のソ連独占は戦後の冷戦開始を意味する

• 日本を「対ソ包囲網の一角」として利用したい

• 日本参戦で欧州反攻が再び可能になる

★結論

英米は“満州のソ連単独支配は認めない”という立場を初めて明文化する。

これは史実では絶対に起こりえない大転換である。

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◆【3】日本側要求②:釜山の保持

日本は釜山橋頭堡を唯一の既得権として保持している。

英米はこれを 全面的に支持 する。

理由は明白で、

• ソ連が朝鮮半島全域を支配するのを阻止できる

• 日本が釜山を保持していれば、朝鮮戦後処理の際に“交渉カード”として機能

• 英米は朝鮮の完全共産化を望んでいない

したがって英国は:

「釜山および周辺地域の日本主権を尊重する。」

アメリカは:

「戦後の朝鮮処理は、日本の立場を含め多国間で協議する。」

と回答し、事実上の承認を与える。

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◆【4】日本側要求③:日本軍の独立指揮権の維持

日本は「連合軍に参加するが、統合指揮は受けない」という形を要求した。

英米はこれを完全には飲めないが、

代わりに“特別扱い”を用意する。

▼ 英米の公式回答

「日本軍は連合軍の“準加盟軍”として扱い、

欧州では英米と共同作戦を行うが、

指揮命令系統は出来る限り尊重する。」

ポイント:

• 欧州派兵の場合だけ、連合軍司令部の operational control

• 日本本土・アジアでの軍事行動は日本が独立して指揮

• 海軍作戦は“共同海軍委員会”という別枠を新設

特に海軍は大喜び。

▼ 実質的にはどうなる?

• 陸軍が欧州に派兵する場合、連合軍の作戦計画に従うが

日本の判断で拒否権を発動できる 特殊条項を付与

• 海軍はほぼ独立した“友軍”として扱われる

つまり 日本軍はNATO参謀のような位置付けで参加する 形になる。

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◆【5】日本側要求④:日本の国際的地位の回復

日本は大国として復帰することを要求。

• 国際連合(あるいはその前身)での常任理事国入り

• 経済封鎖の再発禁止

• 中国問題での発言権保持

英米は非常に好意的に回答する。

▼ 米国の回答

「日本は、戦後国際秩序の創設国として参加すべきである。」

「アジアの安全保障に日本の協力は不可欠である。」

これはほぼ“常任理事国の席を確保する意思表示”

▼ 英国の回答

「日本はアジアにおける最重要の大国であり、

戦後秩序でその地位を尊重する。」

英米とも、

“日本は戦勝国待遇に近い扱いを受ける”

という姿勢を取っている。

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◆【6】実際の交渉プロセス(1944年12月〜1945年3月)

● 第一段階(非公式):日本の要求を確認

● 第二段階(両政府内部):どこまで譲歩できるか審査

● 第三段階(ロンドン極秘会談):英米が共同回答案を作成

● 第四段階(東京ルート):グルー特使が日本に回答を伝達

● 第五段階(日本側閣議):海軍・外務省が回答受諾を主導

● 第六段階(宮中裁可):昭和天皇が慎重に承認

● 第七段階(公式交渉開始発表の準備)

全体として、

英米は“日本を最優遇の準同盟国”として扱う路線で一致した。

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◆【7】総合結論:英米は日本に大幅譲歩し、連合国入りが既定路線になる

日本の要求に対する英米の最終的な姿勢は:

■ 満州 → ソ連単独支配を認めない(日本の大勝利)

■ 釜山 → 日本主権維持を全面支持

■ 軍の独立 → イギリス式の“特別枠扱い”で実質容認

■ 国際地位 → 大国扱いを明確に示唆

つまり、英米は ほぼ全面的に日本の要求を受け入れた。

なぜなら、

日本がいなければ対ドイツ戦線が崩壊する からである。

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