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年金クジラの影 —GPIFを呑み込む黒い資本—

作者:東雲 比呂志
 日本経済の停滞は「失われた30年」と呼ばれ、国民の生活を蝕み続けている。その陰で、私たちの給与から毎月のように天引きされる社会保障費や年金積立金が、どのように運用されているのかを知る者は少ない。
 若き記者・高梨は、師である先輩ジャーナリストから命懸けで託された内部資料を手にする。それは、巨額の年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、外資系シンクタンクの“設計図”によって方向づけられていることを示す衝撃の文書だった。
 調査を進めるうちに、高梨は監視され、仲間を失い、ついには命を狙われる。「記者」としての矜持と「逃亡者」としての現実の狭間で揺れながらも、彼は真実を伝えるために最後の決断を迫られる。
 公開討論会で権力と正面から衝突し、命懸けの逃亡の果てに送り出した最後の通信。それは海外の独立メディアによって報じられ、瞬く間に拡散していく。国民の怒りは街頭へと溢れ、政権や官僚の内部に亀裂が走る。
 しかし代償は大きかった。高梨は表舞台から姿を消し、消息不明とされる。だが、彼の名は象徴として残り、学生や市民の間で「声を上げる勇気」の旗印となった。
 やがて、若者たちが図書館で新たな資料を解析し始める。未来を綴るのは、もはや一人の記者ではなく、次の世代だ。
 ――沈黙を選んだ者は去る。だが、声を上げる者たちが未来を作る。
 社会派サスペンスの形を借りて描かれるのは、日本が直面する“設計された沈黙”と、それを破ろうとする人々の物語である。
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