第6話 幼馴染み
ギルドに戻って来た俺たちは受付で成功報酬をもらった。
だが、報酬金の七割は自称ヘルムートに会った時に詫び金として渡すことにした。
ティナも承認してくれた。
「やはり、お兄様の魔術は迫力が違います。久しぶりに見れて大満足です」
「ティナも凄かったぞ。前よりずっと強くなって、兄として誇らしいな」
「もう、お兄様ったら……褒めても愛情しか出ませんよ」
ティナと談笑しながら、ギルドを出ようとする。
その時、後ろから声をかけられた。
「ひ……久しぶり」
振り返ると茶色の髪の少女がいた。
とても愛嬌のある顔。
服の上からでも存在を主張する大きな胸、くびれた腰、スラッと伸びた脚。
プロポーション抜群の彼女は──。
「セラフィじゃないか」
彼女はセラフィーナ・ラーキンズ。
幼馴染みだ。
ここに居るということは冒険者になったのか。
いつの間に。
「話聞いたよ。これからはずっとここに居るの?」
セラフィは頬を赤らめながらチラチラと俺を見る。
久しぶりに会ったからか緊張しているのか?
俺も彼女のことは言えず、顔が熱くなっている。
「そ、そうだな」
「じゃあさ、良かったら私とパ、パーティーを……」
セラフィがもじもじしながら何かを言いかける。
が、ティナを見てハッとする。
「あっ、もしかしてティナちゃんともうパーティー組んでるの?」
「ああ。妹とは連携が取りやすいからな」
「そっか……」
少しがっかりするセラフィ。
なぜがっかりするのだろう?
「セラフィはソロでやってるのか?」
「今はね」
「じゃあ、俺たちのパーティーに入らないか? ソロだと何かと不便なこともあるだろう」
「いいの?」
「もちろんだ。ティナはどうだ?」
ティナはジッとセラフィを見つめてから笑みを浮かべる。
「拒否する理由が見当たりません。ティナはセラフィさん好きですから」
「──っ。ありがとう! ルーファス、ティナちゃん!」
パーティーを組みことになったので、俺たちは互いにギルドカードを確認する。
どういう能力があるかを把握しておけば戦闘時の連携がスムーズになるからな。
俺とティナは受け取ったセラフィのギルドカードに目を落とす。
ーーーー
セラフィーナ・ラーキンズ 適性ランク:???
膂力:C
耐久:D
敏捷:B
魔力:C
幸運:EX
《保有スキル》
『強運』『金運』『星の王冠』
ーーーー
「凄まじいほどの幸運だな」
「スキルも運気上昇系ばかりですね」
思い返してみればセラフィは昔から運が良い。
落とし物を届けた相手が国のお偉いさんで超豪華なパーティーに誘われたり、偶然助けた相手がどこかの国の王女様で莫大な謝礼金をもらったり……などなど挙げればキリがない。
このステータスを見れば納得せざるを得ない。
しかし、なんで適性ランクが不明になっているんだろう?
そのことを聞こうと思って、セラフィの方に顔を向ける。
だが、セラフィは俺とティナのギルドカードを交互に見て驚きをあらわにしていた。
「な、なにこれ? Sランクなんて存在するの? 空間跳躍って? ……なんか凄すぎてクラクラしてきた」
「セラフィだって幸運EXじゃないか」
「う、うーん。確かに運はいい方かもしれないけど。でもなぁ……戦闘で役に立たないよ」
「戦闘が全てではないですから。幸運が高い人がパーティーにいると生存率が上がったり、良い素材を見つけやすくなると言いますし」
俺とティナは幸運が低いからな。
その分をセラフィが補ってくれれば助かる。
そういえば、オスニエルたちにも『お前の運が悪いからロクなことが起きない』とかネチネチ言われたな。
「少しでも役に立てるように頑張るね」
「ああ、一緒に頑張ろうな」
パーティーメンバーにセラフィが加わった。
補足
『星の王冠』──ありとあらゆる巡り合わせが良くなる。