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第56話 勇者パーティーの帰還③


 売店で購入した水着に着替えた私たちは、目に飛び込んで来た光景に息を飲んだ。


 青い海、白い砂浜、空に浮かぶ雲は様々な形を成している。

 これ全部が魔術によって造られた人工的な空間なんて……圧巻の一言ね。


「シェリルの水着姿とても可愛いわ! もっと、近くで見させて!」


 まぁ、当然の反応ね。

 賢くて、美しい私はスタイルも美しい。

 日焼け止めを塗って、麦わら帽子を被っているので日焼け対策も万全よ。

 白い肌は私の自慢の一つ。

 焼いてたまるものか。


 だからって興奮してあまり近付かないで。

 そのギラついた目を向けないで。

 とても怖い。


 というか、イヴィーの水着姿……結構過激だ。

 露出が凄いことになっている。

 何?

 私を誘惑しようとしている?

 貴女のスタイルの良さは認めるけど、それで私の心は微塵も動かないからね?


「あら、この陽射しも魔術でできているのね」


 エベリナの水着はシンプルだけど、着ている本人が色気たっぷりなので……エロい。

 普段と異なり赤髪をまとめているので印象が少し変わる。


 ベタベタくっついてくるイヴィーを引き剥がそうとしていると声をかけられた。


「あ、あの……もしかして賢者シェリル様ですか?」


 今、賢者って言った!?

 私の耳はその単語を絶対に聞き逃さない。

 イヴィーをはねのけて、決めポーズをしながら声に応える。


「そうよ、私こそ偉大なる賢者シェリルよ」


 私に声をかけてきたのは茶髪の女の……胸デカッ!

 何この大迫力!?

 今まで見た中でダントツの大きさなんですけど!?

 凄い……大きいだけじゃなくて形も良い。

 これはまさに芸術!


 女の子は嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。

 その度に揺れる胸の破壊力たるや。

 水着の紐が切れそうだ。


「やっぱりそうですよね! その銀髪と青い瞳、絶対そうだと思いました! あ、あの握手してください」


 差し出された手を私は握る。

 そう、そうよ。

 これが普通の反応なのよ。

 それなのに勇者パーティーの連中と来たら……。


 にしても、良い子ね。

 胸の大きさに目が行っていたけど、顔も可愛いし、性格も良さそう。

 え……ちょっと待って。

 

「ありがとうございます! 感激です!」


 彼女の隣にちょこんと座っている存在に鳥肌が立った。

 蒼炎の九尾(キュアノス・エンネア)よね?

 しかも、希少個体のラピスラズリ。

 初めて見たわ……存在するのね。


「あ、あの、その子は?」

「私が契約している子です。名前はラピスって言うんです」


 契約!? 契約しているの!?

 嘘でしょ!?

 幻獣と契約って。

 そして、名前が安易!


 私が呆然としていると黒髪の美女が近寄ってきた。


「どうかしたの?」

「あ、お母さん。王国の有名人に会っちゃってお話ししてたの」


 え……?

 何この人。

 信じられないくらい禍々しい魔力を纏っているんだけど。

 普通の人間だったら発狂するレベルよ。

 というか、人間……?

 明らかに別の何かが混ざっている気がするんだけど。


「あらあら、有名人さんなの? じゃあ、お母さんも握手してもらおうかしら」

「いいですよ」


 私は握手をかわす。

 ひんやりと冷たかった。

 これ、生きてるの?


「貴様ら、何やっておるんじゃ!」


 さらにもう一人来た。

 金髪と赤い瞳が特徴的な美女だ。

 それよりも気になるのは……黒い尻尾?

 黒い尻尾がブンブンと動いている。


 それに、全身から放たれている気迫というか雰囲気。

 もしかして龍?

 いや、絶対にそうだ。

 龍が人間の形に変身しているんだ。

 何で龍がそんなことをしているの?


 私は茶髪の女の子に再び顔を向ける。

 とても良い笑顔だ。


 うん、この子自体は至って普通だ。

 普通だからこそ怖い。


 何この子と取り巻き!

 めちゃくちゃ怖いんですけど!


 私が口をあんぐりと開けながら驚愕しているとイヴィーとエベリナもやって来た。


「そうだ! 私たちビーチバレーしようと思ったんですけど、賢者様たちも一緒にやりませんか?」


 私は彼女とその仲間にとても興味があった。

 なので、お誘いを受けることにした。



×××



 それはビーチバレーという名の戦闘だった。

 最初は普通だった。

 だが、段々と私たちは白熱していった。


 ついには双方魔術や己が力を使うまでに至った。


 相手はとにかく強かった。


 龍の美女は身体能力が異常に高く、どんな方向に飛んでいったボールも確実に拾う。

 尻尾のリーチがあまりにもズルい。

 加えてスパイクの威力が強烈だった。

 強化魔術で体を強化しなかったら腕の骨が折れていただろう。


 黒髪の美女はおっとりした性格なのか、攻撃には一切転じなかったが防御力は凄まじいの一言だ。

 だって、こっちがいくらスパイクを打っても空間を歪めたり、重力を操作されたりしてボールが全然砂浜に落ちない。


 茶髪の良い子ちゃんだけはとても楽しそうに普通のビーチバレーを楽しんでいた。

 他の二人に比べて彼女は特出した身体能力、魔術は無い。

 でも、楽しんでいる姿を見たら集中攻撃するのは気が引けてしまいできなかった。

 加えて、コートの外で目を光らせれている幻獣が怖い。


 かと言って、一方的にやられるのは気に食わなかったので必死の抵抗をした。

 魔術を使い、エベリナの魔術も一時的に解禁した。

 イヴィーは以外にも身体能力が高く、ボールに食らいついていった。

 召喚術師なんてやってないで前衛で戦った方が良いんじゃないかと思うほどだ。


 結果は引き分け。

 というか、ボールが破裂してしまったので続行不可能となってしまった。

 この一戦で仲を深めた私たちは行動を共にしてビーチを楽しんだ。

 その後、私たちはかいた汗を流すために温泉へと向かった。


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