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第11話 リザルト結果


 夕方になり、何事もなくクリューソス・ヒェロナが動き出したことでゴールドラッシュは幕を閉じた。

 俺は街に戻ってすぐに教会へと向かった。

 教会には優秀な回復術師が常駐し、傷を負った人を癒してくれている。


 ヴァロスラヴァとの戦闘で負った傷が治った俺はギルドに来ていた。

 ティナとセラフィに任せていたアイテムの換金結果を知るためだ。


「おー! ルーファス! もう動いて大丈夫か」


 赤い顔した冒険者仲間たちが話しかけてきた。

 手にはデカいジョッキを持っている。

 中身は酒だろうな。


「ああ、教会に行ってきたから」

「そりゃ、良かった! せっかくの祭りだってのに寝てんのはかわいそうだから!」

「そうだな」


 話をしているとどこからともなく聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。


「グゥハハハハハハ────!! 酒盛りじゃあああああ!!」


 声のする方を見ると、ヴァロスラヴァがテーブルの上に立っていた。

 その両手にはジョッキが握られている。

 ……何やってんだ?

 というか、すっごい元気だな。

 俺が与えたダメージがどこにも見当たらない。

 肌とかツルツルだ。


「凄い馴染んでるな」

「おお! アイツか。話してみたら面白い奴でよ。つうか、聞けばお前の仲間らしいじゃないか」

「へ?」

「ティナちゃんといいセラフィといい羨ましいな美女揃いで! 俺のパーティーなんて男ばかりだぞ!」


 俺が困惑してると、ヴァロスラヴァがこちらに気付き飛んできた。


「貴様、来るのが遅いぞ。飲むか? 美味いぞ」

「遠慮しておく。ここで何をしているんだ?」

「何って、酒盛りをしているんじゃ」


 黒い尻尾をブンブン振って楽しそうなヴァロスラヴァ。


「なぁ、聞きたいんだけど。お前が俺の仲間という話になっているはどういうことだ?」

「ワシ、冒険者とやらをすることにした。で、貴様の群れに入ってやることにした。感謝せい」

「群れって言い方。なんで突然、冒険者になろうと思ったんだよ?」


 すると、彼女はニカリと笑った。


「貴様が言ったんじゃ。冒険者とやらは楽しいんじゃろ? 楽しいことは大好きじゃ」



×××



 俺は一足先に来ていたティナとセラフィを見つける。

 しかし、どうもティナの様子がおかしい。

 ガクガクと体を震わせて挙動不審だ。


「どうしたんだ? ティナ」

「お、おおおお兄様……か、換金が……」

「いくらくらいになった?」


 ティナに聞いてもアワアワしているだけ。

 なので、セラフィの方に聞いてみると。


「えっと、その……これくらい」


 曖昧に呟き、人差し指を挙げた。

 希少な花と蝶も確保できた。

 鉱石も見た感じレアなのがいくつもあった。

 となると。


「10万くらいいったのか?」

「ううん」

「100万?」


 セラフィは首を横に振って、金額をぼそりと呟く。


「1億」

「は?」


 どうやらヴァロスラヴァとの戦闘のせいで耳がおかしくなったようだ。

 変な金額が聞こえてきたぞ。

 よし、深呼吸を繰り返して。

 

「もう一度言ってくれないか?」

「1億……どうしよう、私たちお金持ちだよ」


 なるほど、ティナが震えていた理由がよく分かった。

 俺も今めちゃくちゃ震えている。

 大金もそうだが、セラフィの幸運が凄いを通り越してもはや怖い!



×××



 俺、ティナ、セラフィはギルドでヴァロスラヴァを待っていた。

 二人にはすでに話をしてある。

 不信感はどうしても拭えないがとりあえずは全員承諾した。


「全く面倒な手間をかけさせおって」


 しばらく経ってから面白くなさそうに尻尾を揺らしてヴァロスラヴァが戻ってきた。


「ほれ、これでいいじゃろ」


 そう言って、作ったばかりのギルドカードを俺に放り投げる。

 キャッチした物を三人で覗き込む。


 ーーーー


 ヴァロスラヴァ 適性ランク:A


 膂力:A

 耐久:EX

 敏捷:A

 魔力:E

 幸運:C


《保有スキル》

『全属性耐性』『状態異常耐性』『超速回復』

 

 ーーーー


 耐久EXか。

 そりゃあ堅いわけだ。

 それに超速回復なんて便利なスキル持っているな。


「これちゃんと持ってろよ」

「別に要らん。貴様が持っているがよい」


 しょうがないので俺は自分のギルドカードと一緒にしまっておく。


「紹介するよ。俺の妹のティナだ」

「よろしくお願いします」

「ほほう?」


 ヴァロスラヴァが興味津々といった表情でティナを観察する。


「やはり似ておらんの。コイツの方が愛い」

「それは認めるよ。で、この子はセラフィ。幼馴染みだ」

「よ、よろしく」


 少し緊張気味に頭を下げるセラフィ。

 ヴァロスラヴァはセラフィの胸を容赦無く鷲掴みにする。


「貴様、こんなデカい乳ぶら下げて疲れないんか?」

「あっ、ちょ……ちょっと」


 困惑するセラフィ。

 もう少し見ていたい気持ちもあったが、話を先に進めるために仲裁に入る。


「セラフィが困っているから、その辺にしてあげてくれ」

「なかなかに良い揉みごごちだったぞ」

「後で感想を詳しく聞かせてくれ」

「聞く必要ないよね!?」


 こうしてヴァロスラヴァが仲間に加わった。


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