第三話『赤子』
暇です。
だって、フランシアはまだ赤子。
屋外だって連れて行ってもらえないし、ましてや、部屋の外でさえ出たことがない。
部屋に常駐しているメイドさんぐらいしか人間が居ない。
そりゃあ、飽きる。
せめて、せめて!本くらいあればちょっとは気が紛れるんだろうけど、
文字も読めない赤ちゃんが本読むのはちょっとねぇ。
そもそも喋れないわけだし。
折角異世界に来たんだから、魔法使いたかったけど、
ずっとメイドさんの監視下だから、思うようにできない…。
まぁ⤴私は⤴、魔力がほぼほぼ無いので魔法なんて使えてもしょぼいんですけどね。
ハハハハハ。
【説明しよう!魔法とは、体内に流れている魔力を体外に出し、『技を放つ』という過程の名称である。
『ほしなな』の世界の人々は体内に魔力管と呼ばれる血管のようなものが張り巡らせれており、それが集
中的に集まっているのは指先。
大抵の場合、指先から魔力を放ちそれをどうしたいかを具体的にイメージすることで扱えるようになる。
魔力も、血液と仕組みは変わらないため、心臓から全身へ送られていく。
そして、魔力管のポンプの役割を果たしているのが、心臓の中に位置する、『マナ』という機関になる。
駄菓子菓子、魔力が使用したい魔法の量に見合わない場合は、技としての機能を果たすことは不可能であ
る。】
と、いうことなんで、イメージはできたとしても、それに見合った魔力が無いので魔法は使えないのです!
わー、ショック。
だから、魔法を使うためには魔力を増やさなければいけないのです。
魔力を増やさないと、魔法が使えなくて、異世界を満喫なんてできないっ!
…、別に魔力を増やす方法が無い、というわけではないのだ。
長々と書かれていた説明にも出てきていた『マナ』だが、魔力を全身に行き渡らせるというポンプのような役割とは別に、魔力の貯蔵庫としての機能を兼ね備えている。
生まれたての赤子は魔力の貯蔵可能な量も少ないため、全体的な魔力総量も少なくなっている。
悲しいことに。
感情は一旦おいておいて…。
「まあおうおぎゃうー(魔力の増え方の仕組みー)」
・魔力は一日で失った分の殆どを睡眠によって回復することができる。(7割ほど)
・魔力の貯蔵している量が少なくなると、急激に眠くなったり、気分が悪くなったり、個人差はあるもの
の、体に異常反応が起こる。
・魔力の貯蔵可能量は魔力総量が少なくなると若干だが増える。
・魔力の貯蔵可能量より魔力総量が少なかった場合、体内で貯蔵可能量にあわせて魔力が生成される。
わかったかな?どうやって貯蔵量を増やすのか。
「あうあいあぁ(正解はー)」
『魔力をギリギリまで使って寝る、という生活を繰り返す』、でした〜。
理論的には、
ステップ①.魔力を極限まで使う
ステップ②.気分が悪くなって、寝る
ステップ③.翌日、魔力ほぼ回復&魔力貯蔵量アップ!
である。
魔力貯蔵可能量が増えるとはいっても、魔力総量の一割増えるかどうかというもの。
ちなみに、生まれて一週間未満の赤子の魔力総量は1~5程度が普通。
フランシアは比較的平均だったはずなので2~3が妥当だろう。
そして、子供達がこんな体に負担をかけるような魔力増幅訓練をしなくても魔法が使えるのは、
体外の魔力を取り入れているから。
魔法とは、体内の魔力でなくても使うことはできる。
空気中にも魔力は存在しているからだ。
なので、使うことはできるのだが、どうしてもしょぼくなってしまう。
何故かと言うと、空気中に存在している魔力は別の人の魔力だからだ。
簡単に説明すると、
魔法=魔力の塊、なので指先から魔力を出したにせよ、魔力量が魔法に見合っていなくて使用できなかっただとか、魔法を使う必要がなかっただとかで空中に魔力がそのままになる場合がある。
それが、空気中に魔力が存在している大まかな原因。
その空気中の魔力のことを『魔素』という。
魔素は魔力に比べ濃度が薄いため、同じ量で魔法を構築したとしても、どうしても格差が出てしまう。
魔法の発動段階に魔素を集めるといった無駄な動作が入るため、発動も遅い。
体外のものだからコントロールが難しいのもあって、技量もいる。
「あうい、あういおああうあいいぉ…(別に悪いとは言わないけど)」
魔法は魔力を魔素化して体外に出し、その量に見合ったもので構築が可能となる。
見合ったものと言っているが、大きいが威力が小さいものと、小さいが威力が大きいものだと、小さい魔法のほうが構築は難しくなる。
魔素の密度を高くして具体的にイメージしながら魔法にするのが一筋縄ではいかないからだ。
集中力の次元が違う。
魔法の維持、というのも大変。
はい!まぁ、小さくて威力の低いものも使えないようなゴミ魔力なので、さっさと増やします!
そんな簡単にはいかないけれども!
例えば、魔力量が「2」の場合、マッチ程度の火を10秒灯せるかどうか危ういって感じ。
ちなみに、「詠唱」はイメージしやすくしたり、伝えやすくするためのものなので、魔法を使用する上では必要ない。
じゃあ、監視の眼を盗んで、早速。
必要ないとはいえ、ロマンは大切ですからね。
「あぅあ(小火炎)」
« ボッ »
!?
想像以上にきっつい…。
めっちゃ小さい火なのに、生命力が吸い取られるような…?
これで、魔力量が増えてくれればいいんだけど。
あ、ヤバい。眠い。
意識…が…、、、
もう、、、だめ…
私の記憶はそこで途絶えた。