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第28話:パワハラ女王、怒る2(三人称視点)

 ジゼルがツバサの厳しい指導の下、鏡になるくらい床を磨き上げているとき。


『……ぬああああ~! どこじゃ~! ジゼルはどこにおるんじゃ~! あのクソ妹め~!』


 常に全自動ゴーレムが忙しなく飛び交うアルカディア帝国の、中心部にある宮殿。

 そのまた最奥に広がる"女王の間"で、ロザリーはひたすらに魔波プレートを叩いていた。

 忙しい合間に調査を進めるも、ジゼルが姿を消してからまだ手がかりの一つも見つかっていない。

 完全に消息不明だ。

 ただでさえ多忙なのに、余計にイライラする。

 ロザリーは全てのストレスを爆発させるように叫んだ。


「おい、モーリス! どこにいるー! 今すぐ来い! 脳みそをゴーレムに改造するぞー!」

「はっ! ここにおりますっ! 脳みそをゴーレムに改造しないでください!」


 ロザリーが噴火すると同時に、扉が開かれモーリスが飛び出した。

 いつ呼ばれてもいいように、最近はほとんど扉の前で待機しながら仕事していたのだ。  走り出す瞬間、彼は魔波プレートのタイマーを起動する。

 全力で走ってロザリーの机に着いた後、恐る恐るタイムを見た。


(……3.2秒!)


 なんと、前回より0.4秒も縮めることができた。

 これで遅いと怒られることはないだろう……と、ひと息ついた瞬間、ロザリーの雷が落とされた。


「バカモノー! 3.2秒も待たせるとは何事じゃー! 妾の時間を無駄にしおったなー! この時間泥棒がー! お前の脳みそに時間の大切さを刻み込んでやろうかー!」

「も、申し訳ありません! 刻み込まなくても時間の大切さは存じ上げております!」


 怒号を耐え忍ぶモーリスは一瞬、怒っている時間の方が無駄なのでは……と思いそうになった。

 だが、思考を読み取られないとも限らず、すぐに愚かな考えを霧散させた。

 彼の葛藤などいざ知らず、なおもロザリーは叫ぶ。


「ジゼルはどこにおるんじゃ! まったく足取りが掴めないぞ!」

「そ、それが、私どもも手を尽くして捜索しているのですが、本当に行方がわからず……」

「観測ゴーレムは何をしておる! 帝国中の空を飛んでいるはずであろうがー!」


 アルカディア帝国は高度な技術力によって、領空に何機ものゴーレムを飛ばしていた。

 主に、魔波の中継と気象の観測が目的であったが、もちろんのこと魔波プレートを探知することもできる。

 ジゼルが持つ物は王族専用のため、特定するのは用意なはずだ。

 ところが、ジゼルは魔波プレートの電源を落とし、"スターフォール・キャニオン"に着くまでは常に空間魔法で仕舞っていたため、どの観測ゴーレムも探知できなかった。

 ロザリーはしばらくモーリスに怒号を浴びせていたが、やがてふと気づく。


「まぁ、待て。わかったぞ。妾はジゼルがどこにいるのかわかったんじゃ」

「おおっ!」


 無機質な"女王の間"に、モーリスの明るい声が響く。

 ジゼルの行方の見当がついたことより、恐ろしい女王の機嫌がよくなった方が嬉しかった。 ロザリーは右手の指を三本上げる。


「ククッ、ジゼルが探知できない可能性は三つあるのぉ」

「み、三つでございますか?」

「……まさか、わからないわけではないな?」

「あ、いえっ、何ともっ」


 冷や汗をかきながら答える中、とうとうと説明された。


 ①魔波プレートを破棄、もしくは魔波を遮断した状態で移動している

 ②魔波の届かない場所にいる

 ③その両方


 という話を聞くと、モーリスは感心した。


「……なるほど、さすがは女王様。聡明でございます」

「やっぱり、わかっていなかったのかー! この愚か者ー! ジゼルを見つけたら、お前の脳みそをゴーレムに改造するからなー!」

「も、申し訳ございませんっ! ジゼル様を見つけても、私の脳みそをゴーレムに改造しないでください!」


 気が緩み、カマをかけられてしまった。

 失態に呆然とするモーリスに、ロザリーは叫び続ける。


「我が帝国において、魔波の届かない場所は一つしかない。"スターフォール・キャニオン"じゃ! おい、モーリス! 至急、捜索隊を作れ! 今日中に出立じゃー!」

「しょ、承知いたしました!」


 モーリスは本当に改造されてしまうのかと、一抹の不安を抱えながら魔導騎士団の拠点に走る。

 その日の夜、ロザリーたちは、ジゼルがいる"スターフォール・キャニオン"へと出発したのであった。

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