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第17話:猫ゴーレムは、少年錬金術師に感謝する(三人称視点)

 しんとした草原にツバサとジゼルの穏やかな寝息が聞こえる中、ランドはそっと外に出た。

 再び、満天の星が出迎える。

 藍の空に瞬く無数の白い宝石は、何度見ても見飽きない。

 ランドは瞼の重さを感じながらも、もう少し堪能してから寝ようと決めていた。

 どうしても、見つけたいものがあるのだ。


(ツバサみたいな星座がないレムかね……)


 ジゼルから星座の成り立ちや線の引き方などを教えてもらった結果、自分でも見つけたくなった。

 夜空を広大なキャンパスのように考えて、あちこちと線を引いてみる。

 星と星を結ぶのは結構楽しく、本当に絵を描いているような気分だ。

 数十分も熱中すると、ツバサに似た星座を作ることができた。

 

『やった! ツバサ座ができたレム……!』


 思わず喜びの声を上げてしまい、ランドは口を押さえる。

 起こしてしまったかと思ったが、テントでは相変わらずツバサたちが静かに寝ており、ホッとひと息ついた。


(明日の夜、二人にも教えてあげようレムね)


 喜んでくれるかな、と思うとワクワクした。

 なおも美しい星空を眺めていると、強く感じる。


(ツバサに作ってもらわなかったら、こんなに綺麗な景色を見ることもなかったんだレムね……)


 猫ゴーレムの自分は、ツバサのおかげでこの世に生まれ落ちた。

 初めて目に映った光景は今でもよく覚えている。

 自分を見つめる優しいツバサの顔……。

 言葉を交わさずとも、幸せな毎日が始まるのだとわかった。

 実際にその通りで、ランドの心はいついかなるときも楽しい気持ちでいっぱいだ。

 澄み渡る青い空の爽やかさや、焼いた石魚の香ばしさ、ツバサの温かな手……。

 目に映る世の中の美しい景色、そしてツバサの笑顔が何よりもランドの幸せだった。


(ボクは今日を……いや、ツバサと過ごす毎日を絶対に忘れないレム)


 この先も尊い毎日が、ツバサやジゼルとの幸せ日々が続くと思うと、ランドは楽しくて仕方がない。

 そっと後ろのテントを見ると、二人ともすやすやと寝ている。

 彼らの安らかな生活が続くように自分も最大限頑張りたい……とランドは思う。

 夜空に視線を戻したとき、ちょうど流れ星が一つ煌めいた。

 続けて、二つ三つと音もなく白の軌跡を描く。

 流れ星が止まる前に、ランドは慌てて手を合わせて天に祈った。


『これからもツバサとジゼルと毎日一緒にいられますように……レム』


 それが、一番の希望だった。

 満天の星を堪能したランドは、静かにテントに戻る。

 中は寝ている二人の体温を感じるほどに暖かく、ランドの心もまた温かくなった。

 

(ツバサ、これからもずっと一緒にいようレムね……)


 ランドはそう思いながら、大好きなツバサの毛布に潜り込む。

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