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これすてろーる☆らぷそでぃ  作者: 多数存在
8/9

レイニーデイ

「あめあめふれふれかあさんが──」




 できるだけ楽しげに歌おう。



 雨降りの日はなんだか、心まで雨降りになってしまいそうだから。



 マヨネーズ断ちをして、はや一週間。



 ……ううん、はや、じゃないね。



 マヨネーズをガマンして過ごす日々の、一日一日の長いこと。



 鏡で見るわたしは、少し頬の丸みが減ってキューピーちゃんから遠ざかった気がする。



 マヨネーズがなくてもご飯は美味しい。



 元々食べることが大好きなわたしは、どんな状態の時でも食欲がなくなることはない。



 だけど、マヨネーズがある時の〝あともう一口〟が、なくなっていた。



 実はわたしは図書委員。



 この日は先輩委員の急な思い付きで、図書室の本の配置変えをやらされた。



 お家に帰っても特に予定はなかったから別にいいんだけど、空模様があやしくなってきたのがちょっと気掛かり。



 傘を持ってきてなかった。



 朝の天気予報では雨は降らないと言ってたから。



 雨が降り出しちゃう前に終わらせようと張り切ったんだけど、けっきょく図書室を出る頃にはポツポツと降りはじめていた。



 学校で貸してくれる置き傘もあるんだけど、家の遠い人たちに譲ってたら、けっきょくわたしの分が残らなかった。



 まあウチは近いんだし、少々濡れるぐらいはいっか。



 そう思って歩き出したんだけど、雨はみるみる強くなってった。




 ポツポツ



 パラパラ



 サーサー



 ザーザー




 これ、ゲリラ豪雨ってやつだね。



 あっという間に髪も制服もべしゃべしゃになっちゃった。



 口も開けてられないから、あめあめふれふれーってのも歌えない。



 ここ数日は少し涼しくはなってきてたけど、まだ寒いってほどじゃない。



 思いっきり濡れて帰るのもたまになら面白い、かも。



 だけど、おでこを伝って流れ落ちる水が、目の端っこに入ってくるのが、なんだか泣いてるみたいでイヤだな。



 目に水が入らないように目を伏せて、うつむき加減で歩くことにした。



 小さな交差点だった。



 道路を渡ろうとしたわたしの目の間に飛び出してきた黒い影。




「きゃっ!!」



 それは前を横切った自転車だった。




 そうと気付いた時には、わたしは転んで尻もちをついてた。




 目の端っこに見える信号は赤。




 わたし、うつむいて歩いてて信号見てなかったんだ……。




「ごめんなさい」




「大丈夫か!?」




「え!?」




 自転車を止めて駆け寄って来る人を見てわたしは驚いた。




「……高山リカ?」




「たつきクン……?」




 傘を差し掛けて、心配げにわたしを覗き込むのはたつきクンだった。

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