宣言
「──おい、リカ。
聞いてるのかよ」
「え、ああっと……。
なんだっけ??」
わたしが自分の考えに入り込んでたところ、メイちゃんは何度も声をかけてくれてたらしい。
けっきょくご飯だけを食べたみたいで、野菜は全部残していた。
「せやからね、めーちゃんもうちも、そんな無理してまでマヨネーズをガマンすることなんてないでってゆうてるねん」
マキちゃんはマヨネーズのかかっていないお好み焼きを食べてる。
ソースの黒一色じゃあ青ノリもかつお節も目立たなくて、なんだかとても体に悪そうな食べ物に見える。
「そうだぜ。
別にお前は……まあ多少はふくよかだけど、カロリー気にしなきゃいけない程太ってるワケじゃねえし」
「マヨネーズ女やったらなんや妖怪みたいやけど、マヨネーズ娘とかに言い換えてみたらええんちゃうかな。
マヨネーズ娘、ええやん。
ハロプロあたりのアイドルユニットにおりそうやん」
ハロプロかあ、AKBグループの方がまだ良かったな。
でも、マヨネーズ女と呼ばれるのだけが嫌なワケじゃないの。
味覚音痴と思われてるままじゃ、きっとたつきクンのお料理も食べさせてもらえないから。
ここは嵩山少林寺に入山するような気持ちで一念発起し、脱マヨネーズするの。
スリムなボディと海原雄山も真っ青の鋭敏な味覚を手に入れてやるんだ。
「……ううん。
わたしもう決めたの」
「ああ、そうなんだな」
「そうやったら、しかたないな」
あれ、二人ともちょっとだけあっさり頷きすぎじゃない?
ううん、もちろんマヨネーズを辞める決心は揺るがないんだけど、ここはもう少し、引き留めてくれてるのを押し切ってマヨネーズ断ちを宣言するようなシーンなんじゃないかなあ。
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