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デスパラ=神として転生したオジサンは下界でパイ作り職人を目指す=  作者: 流転小石
第1章 異世界的紆余曲折
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Alius fabula Pars37 モナスカのエルフ2

シニストラとデクストラにギルド職員のドーズは買い物に出かけたものの、エルフの漠然とした買い物に不安となった一般人が、住まいの間取りを確かめてから買い物に行く事を提案したので塔に戻っていた。


戻る道すがらディバルに念話して人族を塔に招き入れる許可を得たシニストラ。

同時にバレンティアにも念話して連絡したデクストラだ。

基本的に龍人は下界の人族とは関係を断っているからだ。


(あれ、もしかして・・・)

その道は例の塔に続いていた。

勘の良いドーズは即座に二人に確認した。

「お二人は"アルジ様"のお知り合いですか?」

ドーズがディバルを(うやうや)しく呼んだのは理由が有る。

それは両手では足りない桁数の残高を保有して、尋常では無い金の使い方をしたからだ。

だが次の瞬間、二人のエルフから殺気を込めた視線が返って来た。

「何故アルジ様を知っている!?」

「ドーズ、全て吐け!!」

「待ってくれ、俺はギルドではアルジ様の専属の担当だ。あの塔の土地も俺が仲介して紹介した場所なんだ」

一転して笑顔のエルフがそこに居た。

「あら、そうだったのドーズ。だったら私たちの担当もお願いしたいわぁ」

人であれば誰もが心を奪われてしまいそうな麗わしのエルフに甘えられて否定する男は居ないだろう。


「よ、喜んで担当させていただきます!!」

頬を赤らめるドーズの心臓はドキドキしていた。

「ドーズよ、我らはお前を気に入った。特にアルジ様の事は些細な事でも我らに報告する様にしてくれ」

一瞬だが殺気を感じ取ったドーズは、二人の強さを肌で感じ即座に返事をした。

「解りました。担当である以上この街で私の知りうる事は全てお答え致します」

「ありがとう、ドーズ」

デクストラには緊張し、シニストラにはときめく中年のギルド職員だ。


「ところでお二人はアルジ様とはどのような関係でしょうか?」

「我らがお仕えするお方だ」

「おおっ、そうでしたか。やはり何んと申しますか品が有りますよねぇアルジ様はぁ。もう何をされても絵になる方ですよねぇ」

先程よりも口角が上がるエルフたちだ。

「お、門の前に大勢人が要るなぁ」


門番の報告で大勢の門兵が導入されていたのだ。

「道を開けてくれ」

ドーズが応えると門兵たちが割れていった。


「ではドーズ。この先へは我らしか入れんが、お前には特別に許可しよう」

するとシニストラがドーズの顔を両手で持ち額を押しつけたと同時に魔法を使った。

大勢の門兵が見ているが意に介さずシニストラは常時発動する簡易加護を与えた。

これにより、人の通れない門をくぐる事が出来るようになったドーズだ。



ザワザワザワ

その光景を見てざわつく門兵たち。

「ドーズよ、一つ忠告しておこう。この門を通れる人族はお前しかいない。何か問題が発生したらお前が疑われると知れ」

「大丈夫です。私が貴方達と敵対する事は無いですから」

「その調子よドーズ。アルジ様に忠誠を捧げていればいつか良い事が起こるかも知れないわ」

「本当ですかシニストラさん。もうずっと捧げますよ」

笑顔のドーズは小遣いが貰えるものだと思っていた。


「では案内しよう」

そう言って三人は門の奥に入って行った。



それを見ていた門兵たちは自分たちも入れるかも知れないと押し寄せた。

「「「痛てぇぇぇ!!おい、押すなぁ!」」」

大勢の門兵が見えない壁と押し寄せる兵たちに挟まれていた。

「やはり駄目か。どうやらエルフの許可を得たものだけが入れるみたいだな」

「ふむ、直ぐに陛下に報告せねば」

後方に居た文官が一部始終見ていた。



「すっげぇぇ」

真下から塔を望むドーズは見上げていた。

「ドーズ、こっちだ」

駆け寄った先は小部屋だった。

「じゃ行くわよ」

「良し、出るぞ」

その間、数秒だ。

(???)

一体何の為に部屋に入ったのか理解出来なかったドーズは、扉の外に出て知った。

「えっ、ここは・・・」

「塔の最上階よ」

「じゃさっきの部屋は!?」

「転移場所だ」

「て、転移・・・」

ドーズが呆気にとられるも二人のエルフは先を進んだ。

一瞬だが周りの景色が見えたが空だけだった。

案内したのは何も無い部屋からだ。


(凄い・・・石で出来ているのか?)

遠目からは解り辛いが室内の壁面には彫り込まれた模様が有った。

廊下や通路の壁に天井にも造詣の深い彫刻が施されていて、目の前の空間や建物が一晩で出来たとは信じられないドーズだ。


「凄い・・・」

基本的には同じ作りの部屋が多いが、どの部屋を覗いてもドーズの口から出てくるのは一つの言葉だけだった。


「ドーズ、喜べ。アルジ様の許可を頂いたぞ」

「はい!?」

「だけどドーズ、これから見せる場所は人族達には教えては駄目よ」

「そうだぞドーズ。例えギルマスだろうと、国王だろうとお前の口から言えば二度と我らと会う事は無いと思え。良いな?」

「は、はい。勿論です」


謁見などに利用する予定である中央の大広間の周りには幾つもの部屋が有るが、正確には廊下を挟んでいる。

「ここは謁見の間となっている。この場で必要な物が有れば用意してくれ」

そう言われて入る場所は広かった。


壁面には窓は無いが、天井からの採光も有り日中は明るく、壁面に龍の文様が彫刻されて浮かび上がっている。

「す、凄い・・・」

ドーズは舞い上がっていた。

「うわっ、壁面が黄金だ・・・透明の椅子が置いてある。水晶なのか・・・」

「あれは我らがアルジ様の坐する場所である」

「凄い・・・凄すぎる」

既に何度凄いと言ったか解らないドーズだ。


「この場所で祝賀会などされますか?」

「どういう事だ?」

「この国の王族も王宮には謁見の間が有ります。何かの祝い事が有れば客を呼んで食べたり飲んだりする事が有るのです」

「「・・・」」

「もしもそのような事をされるのであれば、招待する人数以上の備品が必要になりますから」


「そこまでは聞いていないが、人族を沢山呼ぶ事は無い」

「そうね。時が経てば人も増えるかも知れないけど、しばらくは無いと思うわ」

「そうですか・・・では当初お聞きした二十人ほどの備品を揃える段取りで宜しいですか?」

「そうだな。増やす事は可能だし、今はそれで良いだろう」

デクストラが応えると、ドーズは慌しく動いた。

筆記用具は持っていたが採寸する道具が無くて、体を使って測りだすドーズ。

具体的には歩幅や両手を伸ばしたりしての行為だ。

部屋数は多いが同じ大きさなので一部屋で済んだ。

問題は謁見の間にどのような物を置くかだが、ドーズもさほど知識は無い。


「ではドーズ。この塔で一番重要な場所に入る。心せよ」

ゴクリと息を呑むドーズ。

最奥にある大きな扉を開けて入ると広い空間だか、先程までの石作りの部屋とは違い、木目を生かした調度品も多く全てに細かな細工が施してあった。

大きな窓からは木々の緑が映えて安らぎの空間とも言えよう。

「凄い・・・」

「ここはアルジ様が(くつろ)がれる場所よ」

キョロキョロと見渡すドーズは問いかけた。

「あのぉ、食事とかの用意はどちらでされるのでしょうか?」

「ふむ、隣の部屋だ」


ディバルの本宅同様に調理場も用意してあるがドーズの知る調理場ではない。

火を起こす竈も無ければ洗い場も無いのだ。

勿論全て魔導具を使って行うが、ドーズは知らないからだ。


四方に台が置かれているだけの部屋が調理場なのだが質問するドーズ。

「ここで調理されるなら竈を作る必要が有りますがどうしますか?」

「そのような物は必要ない」

「へっ?ですが調理するには・・・」

「大丈夫だドーズ」

「我らは魔導具を使って調理するの。水も魔導具を使って出すのよ」

「はぁぁ!?魔導具ですかぁ!?」

勿論、魔導具は知っているが調理用の魔導具が有るとは知らなかったドーズだ。

(そんな便利な物が有るなら、一体幾らするんだろう・・・)


「ドーズ、居間で使うクッションが欲しいわ」

「ふむ。ふかふかの寝台も欲しいな」

「あら、枕も必要よね」

「では体を拭く布も多めにいるな」

「皿やスプーンにコップも沢山必要よ」

二人のエルフが思い付きで口にする要望を書き留めるドーズだった。




一方、王宮では文官が報告をしていた。

「何いいっ!!ギルド職員が門の中に入って行っただとぉぉ!」

「はい、全員が見ておりましたが女のエルフが、こう両手で職員の頭を持ち、額を押し当てておりました」

(なんて羨ましい奴だ・・・)

「陛下、塔に入ったギルドの職員を呼び寄せて見たもの全て答えさせましょう」

「ふむ。ギルドに打診せよ」

王宮召喚のドーズ。

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