第31話 準備段階3
テトラに集まった四人はディバルから大会の内容を聞かされた。
予選は召喚したゴーレムと対戦させると聞き驚く四人だ。
普通に対戦して勝敗を決めるものだと思っていたが、時間の無駄だと聞いて納得した。
専用の魔導具に付与されているのは木のゴーレム、砂のゴーレム、石のゴーレムで、強さも三段階設定できる。
強さ的には十、ニ十、三十で高位になるほど攻撃力、防御力、体力が増加する。
木のゴーレムが一番弱いが数を増やして難易度を変える。
砂と石のゴーレム対策が必要だが内緒にしておこう。
まずは一番弱い木のゴーレム一体と対戦して、一定時間内に半壊以上出来なければ次の予選に出る資格は無い。
また、ゴーレムは基本的に対戦者を殺しはしない。
ゴーレムへの命令は武器と防具を剥ぎ取る事と、対戦者を遠くへ投げ飛ばすことだ。
これで接近戦が得意な相手でも簡単には近づけないであろう。
ゴーレムの攻撃を掻い潜り破壊する能力を持つ者だけが次に進めるのだ。
これはほとんどの職種戦に適応され、本戦出場者のニ十人が選出されるまでゴーレムの難易度を上げる予定だ。
ほとんどの職種とは一部の例外の職種があるからだ。
それは戦闘補助魔法と回復魔法である。
この職種に限っては対戦式を予定している。
味方のゴーレムを補助もしくは回復させながら、敵の陣地に入るか敵のゴーレムを全て倒す事を目的とする。
二つの職種は本戦もゴーレムを使った対戦とする。
「・・・そしてゴーレムだが、この魔導具で作れ」
「「「これは・・・」」」
細かな細工がしてあり先端に魔石の付いた棒だった。
扱いやすい様に木、砂、石と一、二、三と具体的な召喚の刻印されたリングと一体化した物だ。
「アルジ様、一つだけでしようか?」
「魔法で複製すれば良いだろ」
「我らは複製の魔法を持ち合わせておりませんが・・・」
「えっ、そうだったか?しょうがない。ゾフィ、ちょっと来い」
ディバルの横に寄る帝国の宮廷魔法大臣だ。
頭に手を置くと瞬時に魔法を理解した。
「じゃ複製しろ」
「ハイ」
全員が見守る中、複製の魔法を使うと魔法の棒が二つになった。
「凄い」
「後は倍倍で増やすだけだ」
「扱い方は・・・」
「アルジ様、私にも魔法を伝授して下さい!」
ディバルの話しに割って入ったのはリオだ。
リオの本心は国内や城内の強化に役に立つと思っての事だ。
しかしディバルにはゾフィの対抗心として認識された様だ。
「しょうがないなぁ」
無事に魔法を伝授され満面の笑みを浮かべるリオだった。
「まぁそんな訳で、後は任せるぞ」
四人は事前に打ち合わせとなった。
それはギルドからの報酬の件だ。
既に治安維持の為の拘束魔導具としてパララを供給しているが魔王国で作成しているからだ。
「なんか苦労して工場作ったけど無駄になっちゃったなぁ」
「仕方ないさ、でもこれからはリオが簡単に複製出来るからいいじゃん。それに工場と言っても数人で作ってるだけだし」
リオの愚痴に魔王が宥めていると、元魔王が助言した。
「そんなに悲観する事はない。作成はクエルノ族ならばそのまま魔導具の開発を進めれば良かろう」
「そうね・・・」
「それよりも二つの魔導具でかなりの利益が出る事になる。このまま国に入れるか?」
「俺とショーゴさんで考えたんだけど、ギルドの認識票を作ってさ、個人の認識票に貯めるのはどうかなって」
「「賛成‼︎」」
女性陣の即決で魔王と魔神王は微笑んだ。
「では魔導具毎で担当を分けるか、全てを四等分にするかだがどうする?」
「「四等分で‼︎」」
またもや即決だった。
「良し、ステラジアンを呼んで交渉するか」
「アヤメちゃんはギルドの認識票持ってるの?」
「私は持って無いよ」
「では早急に造らせよう」
「ええっ、皆んな持ってるの?」
三人はうなづいた。
元勇者と元聖女は当然だが元魔王が持っていた事に驚く。
「ショーゴさんもぉ⁉︎」
「ワシは若い頃に作った物だ」
転生前も最年長だが、転生後も最年長の魔人王だ。
時を改めて五人の密談となる。
基本的にクルシブルの会議には五人の他にそれぞれの国から書記が同席し内容を記録している。
いつもの様に魔人王からの説明に驚愕するステラジアンだ。
「そ、その魔導具を我らギルドに供給してくれるのか?」
「勿論代金は貰うがな」
「勿論だ。しかし、こんな魔導具が有れば警備が随分と楽になるぞ」
「それも踏まえて悪用されない様に血液認証の魔導具だ」
「流石だ。俺からは何も言う事は無い。イヤ、出来るだけ安く供給を頼む」
「フム、時に相談だがなステラジアン」
「何だ?」
「魔導具の報酬を国に貰っていたが、今後は全て四等分にしてワシらの認識票に入れて欲しい」
「それは構わないが、一度全員の認識票を預かるぞ」
「構わないが一人認識票を持っていないから作って欲しい」
「誰だ?」
「私です」
「ほぉ宮廷魔法大臣殿がお持ちで無いと」
「えぇ、ずっと研究で籠って居ましたので冒険に出る機会が無かったの」
「・・・分かった。所定の手続きを行いましょう」
ゾフィは用意してあった言い訳を説明した。
五人の密談はクルシブルのギルドで行われていたので職員が手続きを進めた。
聖魔王、魔魔女、魔人王の認識票は事前にスクリーバが更新していて階級は同じだが、出生地や名前等が変えられた物だ。
「大変です陛下‼︎」
ギルド職員の呼ぶ陛下とはステラジアンの事だ。
「何毎だ」
「それが四人の認識票を更新したところ・・・」
「どうした、言ってみろ」
「全員が白金のグラドスに更新してます!!」
「何いぃ!?」
ステラジアンは驚くも四人はさほどでもなかった。
「ゾフィ殿は新規に作成したのではないのか!?」
「それが作成した所、更新可能でしたので確認したら皆様と同じグラドスになってました」
通常ギルドの認識票を新規で作ると下級グラドスから所定の経験や依頼をこなして階級を上げるのが当たり前の常識だ。
しかし、前例の無い事象が目の前で起こったらしい。
「これは一体どうしたものか・・・」
「ギルドの魔導具は絶対なのであろう? ならば良いではないか」
魔人王の呼びかけに困惑するステラジアン。
「しかし・・・前例がなぁ」
「ここに居る者しか知らないのであれば秘密に出来るだろうに」
「ぬぅ・・・」
「魔導具が信じられないと? 職員が偽造したと言うのか?」
「それは無い。どちらも絶対に無い」
「では事実として認めればいいだろう。我が宮廷魔法大臣はその技量を持ち合わせているのだからな」
隣で頬を染めるゾフィ。
「・・・解った。では話を進めよう」
全員が白金だ




