第30話 準備期間2
クルシブルでは第三段階の時点で大陸内に存在するギルドの支店の在る国々に、それぞれのギルマスから国王に書状が届けられていた。
この度、フォルティス帝国とケレプスクルム魔王国の中間地点に新たな街クルシブルを作った。
クルシブルでは十の職種別による闘技大会を毎月行い、勝ち抜いた英傑を十傑として称える。
更に十傑の中から勝ち抜いた者にクルシブルの統治者として四年間任命する。
闘技大会は街の中心にある闘技場で行われ、ギルドが管理する賭博を予定している。
十傑と統治者の出身国には、賭博の収益を享受する事を約束する。
統治者は四年に一度の十傑による闘技大会で勝ち抜いた者が任命される。
統治者は四年間に街の行政を行うものとする。
統治者と十傑は、街の定めた法律に反する行為や、無断で法律の改定をした場合は上位権限者たちにより罰せられ即座に処分される。
始まりの年はクルシブルだけでの賭博だが、次年度からは各ギルド支部での賭博も予定している。
倍率と掛金はギルドが管理する。
また、国家の要職者の参加は禁止する。
闘技大会は、参加費を払い予選から始まり勝ち抜いた者が本戦へ出場が決まる。
賭博は本戦の出場者に対して優勝者に二位と三位の単券や、一二三位を予測する三連券や、五連券を予定しており、全ての勝利者である十傑の単券を揃えた者には莫大な賞金が用意される。
出身国や賭博券の偽証偽造は、我々が開発した魔導具で鑑定を行い、真偽を判定し偽りが発覚した場合は死罪とする。
また、クルシブルにおける賭場はギルドの管理だけとして、それ以外の賭場行為は禁止であり発見した場合は死刑に処す。
最後に、既に街への移住者を募集しているが好評につき居住場所が少なくなっているので希望者は早めの申し出を願いたいと同時に今回の内容に賛同を賜りたい。
グラディオ国 国王グラード・ステラジアン
フォルティス帝国 帝王ティマイオス・コクシエラ・バーネッティ
ケレプスクルム魔王国 魔王アスラ
このような内容で届いた手紙の末尾には連名で自筆の名前があり、順番は人族を意識したものだ。
(((人魔対戦からさほど経っていないが、まさか帝国と魔物の国が手を組むとはなぁ・・・しかも戦いによる賭博だとぉ)))
「「「誰か軍務卿を呼べ。大至急だ」」」
(((定めた法か。要するに法は変えることは出来ないが、加えることは可能だと言うことか・・・それは後で良いか。まずはこの十傑と統治者だ。我が国の者が統治者になれば・・・面白い見世物になるな)))
各国の国王たちは同様の事を思い描いていた。
ギルド支部の在る国は隣国や同盟国に大小様々な国々だ。
エジェスタス王国、レンティナス国、モナスカ王国、ディクラ国、その他の諸国である。
したがってギルド支部の無いカルバラリア国には連絡は届かない。
・・・はずなのだが、何故か強制的に参加させられる事となる者がいた。
各国の王族は一様に同じ質問をギルマスにしたという。
「我が国も参加するので、かの地に・・・クルシブルと言ったか。我が国の者を滞在させる場所を確保せよ」
「国王陛下、残念ながら我等にはその様な権限はありません。全ては現地のクルシブルで手続きとなりますので、お早めに行動された方が宜しいかと存じます」
勿論、赤子の様にダダを捏ねる王族は全て無視だ。
王族の無謀を無視する権限はステラジアンから各国のギルマスに与えられている。
もしも王族がギルドに対して敵対的な行為を行った場合は、その国からギルドの撤退が決まるのだ。
国の利権の為にもギルドは必要不可欠となっているので、無謀な要求は却下されるとそれ以上の要望は無い。
列国の中で特に早く使者を送ってきたのはエジェスタス王国の者たちだった。
足の速い騎龍を使い護衛と共に駆けつけたのだ。
「流石は商業の国と言うべきか」
「金の匂いに敏感な国だ」
魔人王が褒めるも、ギルドの元締めが本性を語った。
エジェスタス王国に続き列強の国々の使者もクルシブルにやってくるのだが、どの国も新たな街での利権を独占しようと考えており場所の確保を要望するが、その程度の対処は既に出来ていた。
三カ国以外の国、もしくは他国出身者の個人が所有出来る制限を決めてあるからだ。
国として契約できる場所は二十箇所までなのだ。
そして一人が契約できる場所は最大で三箇所。
したがって出身国の者が何人居ようとも二十箇所しか登録出来ないのだ。
所有登録と言っても年契約の賃貸である。
クルシブルの利権は基本的に三カ国で仕切られているのだから。
勿論抜け道も在る。
クルシブルで生まれた者には無条件で場所を所有する権利が一箇所与えられる。
これも三カ国の王が決めたもので、すぐには公表せずに自治王が決まってから発表する事となっている。
大きな街となったクルシブルに建物は沢山存在する。
他国に貸し与える予定の場所以外にも多くの空き家が存在しているが、全てギルドが管轄する簡易宿泊施設を予定しているからだ。
これは予選が始まる前から大挙して押し寄せる者たちの為に用意するものである。
参加者や観客に旅行客を意識していたが、実際は大会の運営に一般人からの収益を考えたもので、管理が広くなりすぎてギルドに"利益供与"と称し丸投げしたのであった。
万事準備が進む中、ディバルからテトラに集まる様に命ぜられる眷属の四人だ。
「やっぱアスラって変じやないかなぁ」
「しょうがないでしょオドリバクターは帝国で知られてるから使えないじゃない」
「そうなんだけどさぁ・・・」
「大丈夫だ。そのうち慣れる」
「・・・」




