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デスパラ=神として転生したオジサンは下界でパイ作り職人を目指す=  作者: 流転小石
第1章 異世界的紆余曲折
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Alius fabula Pars27 最強魔法剣士爆誕?

シニストラから無属性の魔法をもらったジーメンスは当初浮かれていたが、よくよく考えるととても恐ろしい魔法だと気づいた。


何でも研ぎ澄まされた刃物のような効果を与える魔法だ。

しかも魔法名も無く、思うだけで発動するこの魔法はジーメンスの手に余るものだった。


「剣の鞘ですら研ぎ澄まされた宝剣のような切れ味・・・まさかこんな使い古しの短剣まで同じようなはならないだろう」

夜遅く宿屋の裏にある雑木林で短剣を振るうジーメンス。

ところが短剣を振るうと何の抵抗も無く木々が切り倒されていた。

「うわっ・・・なんで短剣の長さよりも太い木が何故切れるんだろう・・・」

自問自答したいが答えが出てこないのである。

「まさかっ!?」

今度は短剣も持たずに手刀で木を叩いてみた。

するとどうだろう。

叩くつもりがそのまま振り切ってしまい木が切り倒されていた。

「ええっ、どうしてぇっ!!」

もはや剣も必要としないジーメンスは驚愕した。


(だめだ。この魔法は危険すぎる。生徒たちには絶対に渡してはいけない魔法だ。シニストラさんに返そう。とてもじゃないが私には扱えない・・・下手をすれば国が滅ぶ原因になるかも知れないぞぉ)


既に深夜なので翌朝に危険すぎる理由を説明し返す事を硬く決めて就寝したジーメンスだ。




早朝に宿屋の扉を叩く音がした。

「おはようございます。ジーメンスですが魔法の件でシニストラさんとお話がありまして・・・」

全てを言い終える前に扉が開いた。

「入れ」

扉を開けたのはデクストラで、勢いのまま部屋に入った教師だ。

「失礼しま・・・」

ジーメンスの目に飛び込んで来たのは着替え中のシニストラだった。

「!!っ・・・しっ失礼しましたぁぁ!!」

慌てて部屋から出て行きそうなジーメンスの襟元を掴むデクストラ。

「どこに行く。シニストラに用があるのだろう」

「そっその、お着替え中だったとは知らずご無礼いたしました」

「気にするな。直ぐに済むことだ」

気にするなと言われても、目に入ったシニストラの美しい裸体は、例え後姿であったとしてもジーメンスの脳裏に焼き付いてしまった、とんだラッキースケベである。


「どうしたの、朝早くから」

既に赤面した顔でシニストラを直視出来ずに、うつむいて説明するジーメンスだ。


「・・・そう。でも貴方から魔法を戻すことは不可能よ」

「えええっ、じゃどうすれば」

「そうねぇ・・・」

「では剣に魔法を付与させて、期限か回数を制限すれば良いだろう」

デクストラが無責任に暫定案を提示した。

「それ良いわねぇ。どう、ジーメンスさん?」

「まぁ私が剣士として戦わなければ良いですが、そうなると付与魔法士ですかねぇ」

「そうなるな。では期限か回数を決めよ」

「じゃ期限で」

「ふむ」

するとガシッとジーメンスの頭を鷲掴みするデクストラ。

「!!何をっ」

直接接触でシニストラが記憶させた魔法に上書きしたのだ。

ジーメンスが驚く間も無く手を離すデクストラ。


「とりあえず付与魔法として"アジノタタキ"とした。お前の魔素量であれば一本に三十日ほどの付与が可能のはずだが、意識して効果を変えることは出来るようにした。だが魔素量以上の付与は出来ないからな」

「と言う事は一日の付与ならば三十本の剣に可能なわけですね」

「そうなるな」

「アジノタタキですか。聞きなれない言葉ですがシニストラさんの御国言葉でしょうか?」

「私たちも、"受け継いだ魔法"だから名前は何でも良いでしょ?」

「まぁ確かにその通りです」

「でもデクストラ。欲深い人族の事だからジーメンスさんの魔法を奪おうとしないかしら」

「そうだなぁ」

「恐ろしいことを言わないで下さいよ」

「いや、我等との(えにし)を無駄にしない為にも対策せねばな」

「そう言われましても・・・」

「魔法は伝授出来ないものとして生涯に数回しか作れない百万回使える付与魔法はどう?」

「ふむ」

「付与にはジーメンスさんと十人の魔法士が魔素を使いきっての特大付与魔法はどう?」

「はあ・・・」

シニストラとデクストラが楽しそうに考案するも不安しかないジーメンスだ。


「良し、大付与魔法を加えよう」

ガッシリと頭を掴まれたジーメンス。

先ほどよりも早く終わり付与名を教えるデクストラだ。


「この付与魔法は"カツオノタタキ"と言う。必ず十人以上で魔力同調させて発動させることが必須条件だぞ。くれぐれも一人で発動するなよ」


「カツオノタタキですか・・・恐ろしい名前ですねぇ」

「「・・・」」




カツオノタタキやアジノタタキがどのような意味なのか、シニストラにデクストラも知りはしない。

ディバルと行動を共にしていると、眷族の仲間たちと合うことがある。

ある日、そんな仲間の眷属が"カツオノタタキ"や"アジノタタキ"と言う単語を連発していたのだ。

会話の内容も理解できないが、その二つの単語が頭から離れなかったシニストラにデクストラだった。

「いつか我等も使ってみたいなぁ」

「ええ、"カツオノタタキ"と"アジノタタキ"ね。良い響きだわ。きっと褒め言葉じゃないかしら」

「そうかぁ?我は力強さを感じるのだがな。きっと意志力向上か精神強化の効果が有ると思うぞ」

「良いじゃないどっちだって。いつか使いましょう」


その機会が訪れていたのだった。




自らが魔法剣士となり強さを証明して危険な環境に身を置くことを回避できたと安心したジーメンスは、この魔法の秘密を知る生徒を集めて説明した。

生徒たちの口から噂が広まる事を想定し、魔法の危険度と事実を説明し内容を過小評価して付与魔法になった事を教えたのだ。


「もったいないなぁ先生ぇ」

「そうよ、もしかしたら将軍たちよりも強くなって国内最強になれたかもしれないのにぃ」

無邪気な子供たちの発想が中年に手が届きそうな教師の安定志向を揺さぶっていた。

「はははは、私は教師だからねぇ剣を振るうのは専門の方たちには敵いませんよ」

「でも付与魔法って凄いよなぁ」

「まぁ特別な魔法らしいから私しか使えないそうですよ」

「えええっ俺たちには使えないの先生」

「貴方たちが成人して国の許可を得たら付与してあげましょう」

「国にぃ?」

「そうです。国王陛下とも相談することになるでしょう」


目の前には第二王子オットー・ラクサ・ナ・モナスカに第二王女ミルカ・モリニア・ナ・モナスカと、仲の良いニコ・マクスウェルとダイン・パウンダルに数人の学生が魔法をもらえないと知り落胆していた。


「そうガッカリする事では無いですよ。皆さんも努力して認められれば許可されると思いますから、その時は付与しましよう」

ため息をつく学生たち。

「手に入らない魔法よりも、デクストラさんが見せてくれた浮遊魔法の上達が重要ではないですか? 私の知る限り対戦であのような動きが出来れば勝敗はかなり優勢になるでしょうね」

「そうだった。もっと練習してシニストラさんに認めてもらわなきゃ」

「俺もだ」

「「俺も」」

男子生徒に人気が高いシニストラのあられもない姿を記憶している教師は優越感に浸っていた。


あぁ、こうも暑いとアジノタタキでもつまんで冷たいビール飲みたいなぁ。

おお、アジノタタキか。久しぶりに聞いたぞワシの大好物。

私はカツオノタタキを頬張りたぁい。タマネギとマヨちゃんタップリつけてさぁ。

良いねぇ。ビールで流し込むカツオノタタキかぁ。久しぶりに食べたいなぁ。


第三者が聞いているとも知らずに四人は空想を描いてた。


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